『タイガーマスク』の主人公・伊達直人を名乗る児童養護施設への寄付は、ついに47都道府県を制覇し、いまだに収束する気配を見せない。『あしたのジョー』矢吹丈、桃太郎、はたまた戦場カメラマン渡部陽一まで登場し、贈り物もランドセル、文房具、現金などバリエーションも増え続ける一方だ。
この「タイガーマスク運動」により、にわかに脚光を浴びることになった「寄付」だが、日本では根付かない運動だと言われ続けてきた。その規模は、寄付大国アメリカの実に1/100程度でしかない状況だった。アメリカの寄付年次報告書『Giving USA』(インディアナ大学フィランソロピー・センター調査、ギビングUSA財団発行)によれば、毎年年間約20~30兆円の寄付があり、その約70~80%が個人だとされている。これは世帯平均でも実に年間約18万円ほどの寄付になる。
もちろん、このアメリカの寄付の多さは、所得から寄付金を控除できることも大きな一因である。日本では、税金というカタチで国が徴収したお金を、援助というカタチで再分配するシステムである以上、「寄付」という運動の機運が高まらないことは仕方がないとも言える。
しかし、今回のこの「民意による善意の寄付」活動は、国に対する不満も影響しているのではないかという。
「大企業や富裕層の所得や資産に累進的に課税して得た富を、社会保障や福祉などを通して経済的弱者にもたらすことを『富の再分配』と言いますが、これは国のコントロールによって行われ、当然のことながら”国の信用”で成り立っています。もしかしたら、今の政治に対する不満、信用の失墜の表れのひとつが、今回のこの運動の広がりの根底にはあるのかもしれません」(経済に詳しいライター)
ネット上に「典型的な自己満足の偽善だけど、たった一人の勇気が全国に広がるなんて人の心の温かさを再認識したよ」との声もあるように、一個人が始めたに過ぎない、国に頼らない個人による寄付運動が、一過性のものではなく永続的なものになれば、それは日本全体に漂う閉塞感を打破するための一手になるかもしれない。今回の件により、「共感を得れば、大きなうねりを作り出せる」ことを知った人たちの中から、今後新たな「アクション」が生まれるのかもしれない。
(文=深海)
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