APECで「商売上がったり」の風俗業界

 神奈川県横浜市のパシフィコ横浜で、APEC(アジア太平洋経済協力会議)が10日から開催されている。市内は厳戒態勢で、至る所に警官がゾロゾロ。街全体がピリピリした空気に包まれていて、ちょっとしたことでも大騒ぎだ。9日には首脳会議の会場となるパシフィコ横浜付近で、「マンホールから変なニオイがする」と異臭騒ぎ。消防隊などが出動して一時は現場が騒然となったが、調べてみると下水から自然に発生した硫化水素の臭いと分かった。ほかにも、「APECの会場を爆破する」という予告メールを、宮城県に住む26歳の会社員が首相官邸のホームページに送り、神奈川県警に威力業務妨害容疑で逮捕された。もちろん、ただのイタズラだった。

 それらの影響によって横浜市内のソープランドやファッションヘルスが「客足が減った」と嘆いているようだが、それは横浜市内だけではない。都内、特に都心では警備が物々しい。どこに行っても警官だらけ。外国人と見れば、「日本には何しにきたの」と職務質問する光景があちらこちらで見られたし、少しばかり目立つ風体でも、すぐに職質である。筆者も、永田町の議員会館近く、霞ヶ関、歌舞伎町と、それぞれ警備中の警官に呼び止められ、「カバンの中身は?」と荷物を改めさせられた。

 そんな状況で、警備をしていた警視庁の男性警部補(59)が港区内の飲食店のトイレに拳銃を置き忘れる事件も起こった。拳銃は客が見つけて無事回収されたが、現場の警官たちもかなり緊張しているようである。

 こうした状況に、「まったく嫌になるわ」と言うのは、その道12年のデリヘル嬢Sさん(38)。彼女本人は警官など何とも思っていないが、とにかく客足がぱったりなのだそうだ。

「あんなにお巡りさんがいっぱい歩き回っていたら、お客さんが寄り付かないわよ。そうでなくても、最近はお茶を挽く女の子が多いのに。経済協力会議とかいっても、風俗の景気には完全に逆効果よ」

 たしかに、渋谷・道玄坂や鶯谷などのホテル街にも、警官の姿がやたらと多い。

「それに、さっき来たお客さんも、やっぱり荷物を見せて下さいって言われたんですって、それが……」

 なんとそのお客さん、カバンのなかに、女のコとのプレイに使うためのバイブをむき出して入れていたのだそうだ。

「若いお巡りさんだったんで、『あ、はい、結構です』なんて言って、気まずくなってさっさと逃げるように行っちゃったんですって(笑)」

 この週末も、厳しい警備体制が続くようだ。
(文=橋本玉泉)

『県警対組織暴力』

 
警察、紙一重


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