『アルコールはコカインやヘロインよりも危険』 嗜好品に関する論文発表

*イメージ画像:『アルコール―少量飲酒習慣から健康障害が始まる』 
著:ハンス・H. コルンフーバー

 タバコの増税から1カ月。これをきっかけに禁煙に成功した人もいれば、こづかいを切り詰めて吸い続けている人もいるだろう。値上がり前に買いだめたタバコの箱の山を日々切り崩している愛煙家も多いことと思われる。タバコやアルコールのような嗜好品は、一度習慣になると中々やめられないものだ。「アレがないと何となく寂しい」という程度であれば、まだまだやめられるレベル。しかし、「アレがないと生きていけない!!!!」という段階になってしまうと、それは紛れもない依存症といえる。

 嗜好品の中には、摂取しないことで物足りない気分になるというだけのものばかりではなく、含まれている物質の作用で依存症になってしまうものもある。たとえば、お茶やコーヒーに含まれるカフェインには、ほとんど無害だがわずかな依存性がある。また、タバコの含有成分であるニコチンは、ドーパミンに作用すると言われている。

 今月1日英国で、嗜好品に関する1本の論文が発表された。それは、「アルコールはコカインやヘロインよりも危険」というもので、各界に波紋を呼び起こしている。その論文の中には、英国の「薬物に関する独立科学委員会」が調査して作成した「アブナい嗜好品」ランキングも含まれている。

<摂取する本人への危険性の高い薬物>
1位 ヘロイン、2位 コカイン、3位 メタンフェタミン

<他人への危険性の高い薬物>
1位 アルコール、2位 ヘロイン、3位 コカイン

 また、同会によると、16項目の評価要素を総合的に見ると、一番危険なのはアルコールだということだ。 酒類の危険性への指摘は、「他人への危険性」が中心になっている。つまり、飲む人のカラダへの危険性よりも、酩酊しての乱暴狼藉の多さによって、酒は「人民の敵」のナンバーワンに据えられてしまったのだ。調査対象地域であった英国において、酔っぱらった人による迷惑行為の発生件数が著しく多かったことが、この理由であると思われる。

 しかし、「他人への危険性」を孕んでいるのは、酒やタバコ、マリファナなどの薬物だけではない。たとえば、家から職場まで乗用車を利用して通勤するのも、「他人への危険性」を大いに孕んだ行為である。人々がみな電車やバスで通勤することを選べば、幼児から老人までが等しく負っている交通事故のリスクは激減させることができるだろう。アルコールの作用よりもむしろ、飲酒に関係する「無礼講」の文化が、このような結果につながっていると読み取ることも可能だ。

 もちろん、総合点で酒よりも下位に位置づけられているからといって、ヘロインやコカインやメタンフェタミンが安全だ、という意味ではないことには留意しておきたい。

 なお、米国カリフォルニア州では今月2日、医療目的でのマリファナの合法化や規制緩和をめぐる住民投票が行われ、否決された。日本にも解禁を求める勢力が存在するマリファナは、件のランキングでも下位に位置しているが、まだまだ世の目は厳しいようである。

 どこまでを合法として、どこまでを違法とするか。その線引きというのは、あくまでも一時的なものに過ぎないのかもしれない。厳格なイスラム教国では、タバコやアルコールはすべて違法だし、オランダのように、日本やアメリカでは禁止とされている薬物の服用に比較的寛容な国もある。アメリカやソ連でも、禁酒法が設けられたことがあるが、禁制品となったアルコール類を扱うマフィアが勢力を拡大するなど、芳しくない結果を受けて廃止されている。

 今回の論文に対する捉え方は世界各国でそれぞれ異なるだろうが、日本においてタバコが狙い撃ちにされたように、さらなる酒税増税の口実にされる可能性もある。酒癖の悪さに自覚のある愛飲家の方は、これを機会に、自分のお酒の嗜み方を見直してみてはいかがだろうか。飲み過ぎや、飲酒の上での蛮行さえなければ、あのランキングは変わるかもしれないのだ。

『起きているのは俺と女友達だけ、周りには酔い潰れた友人たち、さてどうする?』

つぼみ×大沢美加、これはアルコール万歳(限定)と言いたい!!


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