去る10月9日、香川県まんのう町にある貸しロッジで、いわゆる「乱交パーティー」を主催していたとして、県警生活環境課と東かがわ署は主催団体の代表U氏(38)とスタッフ3人の計4人を公然わいせつほう助の容疑で、セックス行為の最中だった29歳から34歳の男女4人を公然わいせつ容疑で現行犯逮捕した。
当日、かねてから乱交パーティー開催の情報をつかんでいた警察は、90人にも及ぶ捜査員が現場を取り囲んだ。そして夜の10時15分過ぎ、現場となったロッジへと捜査員たちが一斉になだれ込んだ。
「警察だ!」「全員、そのまま動くな!」
その様子は、往年のピンサロやストリップ劇場の摘発を思わせるものだったという。
警察が踏み込んだ時、パーティー参加者49人とスタッフ4人の計53人がロッジの中にいた。それだけの人数がいたにもかかわらず、逮捕者が8人というのは、やや拍子抜けという感じがしないでもない。
これについては、乱交パーティーに詳しい人物は、「捜査員の勇み足、というよりも、警察はこの手のパーティーのことを何にも分かっていないんだろう」と話す。
「この手のパーティは都内にもいくつもあるけれど、決まったパターンなんてない。スタートから5分後に全員参加の乱交状態になることもあれば、のんびりと代わる代わるプレイする時もある。風俗なら頃合を見て踏み込めばいいんだろうが、この手のパーティーでは通用しないでしょう」
それにしても、今回の逮捕容疑が「公然わいせつ」というのは、何とも違和感がある。たとえ参加者であっても、わいせつ行為を見せたら違法ということなのだろうか。都内で同様のパーティーを開催していた男性は、「問題はないはず」と話す。
「私は(乱交)パーティーを開催するに当たって、地元の警察署に事情を説明しました。すると、『とくに問題ないでしょう』という答えでした。自分のマンションで、会員だけでパーティーをするわけですから。それに、参加費はもらうけれど風俗ではない。だから、たとえわいせつ行為をしたとしても、逮捕されるなんてありえないと思います」
たしかに、そう考えると今回の事件はやや警察の側に無理があるような気がする。たとえば、誰であってもわいせつ行為を見せてはならないとしたら、プライベートな空間の行為まで規制や取り締まりの対象になってしまう危険性がある。
ただし、最近では東京都のいわゆる「非実在青少年」のように、何でもかんでも取り締まれという風潮がある。これは果たして、好ましい風潮と言えるのだろうか。
10月20日、高松地検はU氏を起訴したと発表した。今後の動向次第では、「プライベートな空間内での性的行為」が、取り締まりの対象となってしまう可能性があるかもしれない。
(文=橋本玉泉)
わいせつ物の刑法的是非を問う