今、あるテレビコマーシャルが物議をかもしている。檀れいの出演する、第三のビール『金麦』のCMだ。ネット上での不評のみならず、新聞に批判的な投書が掲載される、週刊誌がその「不人気の理由」を探るなど、見逃せない問題となりはじめている。
といっても、CMの内容はそこまで特異なものではなく、アラフォーにして独身の宝塚出身美人女優・檀れいが「金麦と待ってるからー!」と言うだけのものだ。しかし、これを見た世の女性たちには、男性からの露骨な「理想の女性像」アピールだと受け止められたらしい。
「あの媚びてる感じが大嫌いです。若見えの熟年妻が出迎えて、『お酒冷えてるよ』なんて、わざとらしさしか感じないですね。子育てやパートで忙しい主婦にそんなもの期待されても困りますし、夫は安月給で、第三のビールだって毎日何本も飲ませるわけにはいかない。しまいに、ごろ寝で晩酌しながら『檀れいはいいなぁ』なんて言われた日には、離婚だって考えますね」(30代女性)
とはいえ、酒類のCMに「イイ女」が出てくるのは、昭和の頃よりの常だが……。他にも、酒類に限らず、女性の側からあまり芳しく思われていないCMが、いくつかあるようだ。
「『わたしの鼻がもう少し高かったら』という、整形外科のCM。わたしも鼻が低いのですが、全否定されているようで、イライラしますね」(20代女性)
「佐々木希の出ているガムのCMですね。自分で自分のこと『のぞみん〜♪』言うなや、と。調子外れな歌もアレだし」(20代女性)
他にも、政府広報による地デジ化のCMや、シオノギ製薬による、成人病の危険性を訴えるCM(「ヘイヤデーロトティーヤ♪」、というスキャットで有名)の名が挙がったが、これは性差に関係なく「ウザい」コマーシャルだということができるだろう。ブームとなったトヨタの「こども店長」も、世の独身層を中心に、大きな反感を買っているようである。
逆に、好感度の高いCMは、どのようなものだろうか。
「20年以上にわたって『いいちこ』のCMを見ていますが、ビリー・バンバンの曲調も、世界の風景の映像もよく、気に入っています」(30代女性)
「毎回工夫の凝らされているインテルのCMは、まったく非現実的なものの、コンピュータテクノロジーの最先端を行くインテルだけに、妙な説得力があると思います」(20代男性)
やはり、「見ている人を楽しませよう」という意識があるCMが比較的、好評を博しているようだ。ただ、押し付けがましさを感じることがなく、それでいてインパクトに富んだCMを作るのは、難しいことなのかもしれない。
訴求する対象以外には不評を買うことも多いテレビCM。だが、件の『金麦』CMが不評だったのは、「理想の女性はこうだ!」というような押し付けが透けて見えたことが主な理由だったようで、さらに露骨なセクシー系のCMに対しては、世の女性も比較的寛容なようだ。海外では、かなりキワドいセクシー系CMも地上波で放映されている。その点で日本企業も、もう少し進歩的になってみてはどうかと提案したい。
ホントに壇れい、嫁にほしいか?
酒を飲まないとされる若者に訴求するなら壇れいじゃないだろうね