酷暑だしね

「チケットが売れない!!」今年の夏も音楽フェスに暗雲

「SUMMER SONIC 2010」公式HPより

 先週最後の梅雨明け宣言が出され、夏本番を迎える日本列島。連日体温越えの日が続き、いよいよ夏フェスシーズンの到来だ。といっても中々手放しで喜べないのが音楽業界である。全国各地で夏フェスの予定はあるものの、現状、そのほとんどのチケットがまだ売れ残っているという。

「2日とも大丈夫ですよ。まだ空きはありますから」

 と答えてくれたのは、8月7、8日開催の「SUMMER SONIC 2010」事務局のスタッフだ。23日には、チケットブースを大阪心斎橋のアメリカ村に緊急特設し、チケット販売に躍起になっている様子のサマソニ事務局。売れ行き不調は本当のようだ。

 その他の主要フェス事務局にチケットの販売状況を聞いてみても、ほとんどが「まだ大丈夫ですよ」という、なんとも夏フェスファンには嬉しい(?)返事だった。さすがに、本番間近のフェスでは前売り券販売は終了しているということだったが、それでも「当日券ならありますからぜひ」などと言われた。数年前までは、発売と同時に完売するフェスも少なくなく、10万人を超える来場者を誇るイベントもあったものだが、ここ2~3年は売れ行き不振に頭を悩ませているという。

 日刊サイゾーでも伝えているが、今年の春先に開催されたロッキング・オン主催の音楽イベント「GO! FES」が、史上空前の”ガラガラフェス”だったことは記憶に新しい。その教訓を活かしてか、今夏のフェスには意外な大物(?)が続々登場する。

 特に大胆な出演陣を予定しているのがサマソニだ。元モーニング娘。の現ジャズシンガー・加護亜依が参戦決定したと思ったら、今度はセクシー女優軍団”恵比寿マスカッツ”を豪華出演陣に加えるという英断を下した。他にも、例年とは少し顔ぶれを変えており、ネット上で話題沸騰の新世代バンド「神聖かまってちゃん」に、ロックと縁の薄い層にも人気の高い「ファンキーモンキーベイビーズ」「つるの剛士」など、これまでとは毛色の違う邦楽アーティストを多数揃えている。

 これまで、集客が見込めたからこそ高額なギャラを払ってでも海外の大物アーティストを呼んでいた夏フェス主催者たちも、昨今の不況で体力自体が衰え、少しでもギャラの安い邦楽アーティストを探していると、音楽業界関係者は明かす。

「それこそタダでも出たいっていう若手アーティストは多いですよ。その中から、若手でもそれなりに知名度があって、集客の見込めるアーティストを選んでいます。結果、どのフェスも顔ぶれが似通ってしまうという問題もあるのですが……」

 だからこそ、サマソニは加護や恵比寿マスカッツを起用し、オリジナリティを出したということだろうか。確かにこれまでの夏フェス層とは違ったファンが集まりそうではあるが……。

 ただ、大規模な音楽フェスは出演陣より参加者がその質を決めると言われている。短くても丸一日、長ければ三日間にも及ぶフェスだけに、ファンの盛り上がり自体が、そのままフェスの魅力に直結するというわけだ。2010の夏フェスを、ひいては音楽シーンをいかに盛り上げることができるか。参加者には大いにフェスを楽しんでもらいたい。
(文=峯尾/http://mineomineo.vox.com/

「ROCKIN’ON JAPAN (ロッキング・オン・ジャパン) 2010年 08月号」

 
まっ、楽しんじゃって。


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