「妥協してまで三次元女と付き合う必要はない」相容れないアラフォー男女たちの行方

左DVD『アバター』20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン、右DVD『アロハロ!4 モーニング娘。』アップフロントワークス

 今月1日、日本のポップカルチャーを紹介する「ジャパン・エキスポ」がフランス・パリで開幕した。初日には、日本アイドル文化の象徴としてモー娘。が登場し、ヨーロッパ中から駆けつけたファンは4000人以上に及んだ。
 
 アニメの世界から、そのまま飛び出してきたような衣装を身に着けるモー娘。に対して、ヨーロッパのファンは、「自分の国には、ああいったアイドルはいない」「幸せな気分になれる」と興奮気味だ。日本語で「かわいいー」を連呼し「萌え~」と叫ぶヨーロッパの人々を見ると、日本のオタク文化が今や世界標準であることがよく分かる。

 しかし、国内を見てみれば、「電車男」以降、いわゆる”萌え”という現象は一般化したものの、男主体のオタク文化に対して、女性の視線はまだまだ厳しい。中でも、2004年の流行語ともなった「30代・非婚・子なし」の”負け犬”と呼ばれた人々は、近頃”アラフォー”に昇格して、もはや”負け犬”からの脱出を諦めたとしか思えない発言を繰り返す。

「年収1000万以上は外せない。イケメンでも、話が面白くないとNG」
「家事は、お互いが自分の分をすればいいと思う」
「私以上の生活力は当然だけど、とにかく背が高くて、おしゃれな人でなきゃダメ。え、私の年収? 800万ほどですけど」

 年会費40万円ほどの都内某結婚相談所に通うアラフォーたちの言葉だ。バブル期には、いわゆる「3高」が叫ばれ社会現象となったが、現状はさらに深刻化している。なにせ、この不況にも関らず40歳前後の女性たちが「3高」以上のものを求めているのだ。

 一方、世の中には草食男子に代表されるように”二次元萌え”の男たちが溢れている。彼らと彼女たちが出会うことは不可能だ。こんな悲惨ともいえる現状を、漫画家の倉田真由美は「現実の女に相手にされない二次元に走るオタクが諸悪の根源」と発言し、それが今、ネットで波紋を呼んでいる。そんな倉田の「二次オタ諸悪の根源説」に対し、

「三次女はだから面倒臭い」
「肉があまりにもマズイので草を食べるようになりました」
「妥協してまで、リアルと付き合う必要はない」

 と、ネット上の書き込みは過熱した。特に目立った意見は、「現実の男性に相手にされない高望み勘違い女が悪い」というものだった。ネット住民たちは、倉田とは反対に、前述したような「勘違い」をしている女性側が悪いと主張する。加えて、”腐女子”の存在にも言及し、「女にだってオタクはいる」ことも指摘した。
 
 確かに、腐女子に見られるように、最近ではオタクという文化に男女の垣根はなくなった。単純に考えると、バカみたいな高望みをするアラフォーはこの際放っておいて、腐女子と二次萌え男子がくっつけばいいのでは、と考えてしまう。だが、コトはそんなにシンプルではない。

 作家の本田透は「電車男のエルメスは二次元萌えの男子を三次元に堕落させた」と言う。しかしそもそも、二次元と三次元では、比べることに無理があるもので、どちらが良いとか悪いの比較は難しい。本田の言うように、三次元が堕落なら二次元萌えは逃避といえる。堕落するぐらいなら逃避するか、逃げるぐらいなら堕ちるか、二次元と三次元の狭間で生きる人々は、この二者択一に悩んでいる。運よく、堕落しながら逃避に成功した人もいるだろうが、それは少ないだろう。今後彼らがどんな運命を辿るのか、末永く見守りたい。

 そういえば、「ジャパン・エキスポ」に行ったイギリス人男性が、自身のブログでこんな気になる発言をしていた。

「彼女たちって、本物の人間だったんだね。知らなかったよ(笑)」

 あまり日本のポップカルチャーには詳しくない人間の発言だろうが、外国人にとってみれば、もともとモー娘。のような日本のアイドルは二次元のものとも言える。彼女たちに対するヨーロッパでの熱狂は、まるで、3Dを体感するアバター感覚のようなものなのかもしれない。

 二次元から飛び出してきたリアルなアイドルなんてまるで夢のようだが、そのうち、本当に二次元からリアルにやってくるアイドルというのも現れるだろう。そうなったとき、二次萌えの男子は、どうするのだろう。それでも二次元がいいのか、リアルを求めるのか。楽しみだ。
(文=峯尾/http://mineomineo.vox.com/

 

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