先月末に日本で発売されるや、爆発的な人気となっているiPad。ネットやゲーム、音楽に電子書籍などのアプリケーションソフト(アプリ)が20万以上あり、病院や学校でも導入されるなど、今後さらに普及が予想されるモンスターデバイスである。しかしiPhoneもそうだが、暴力やエロなどに厳格な規制があり、コンテンツ供給をしている(あるいは予定している)出版社などからは、困惑の声も上がっている。
まずはiPadについて基本的なことをおさらいしておこう。iPadはタブレット型のコンピュータで、アップルの発売するiPod touchや、iPhoneを踏襲。ボタンなどはほとんどなく、指でタッチする操作方法など多くの機能が共通である。つまりiPhoneユーザーはほとんどのアプリがiPadでも使えることになる。販売されたモデルはWi-Fi(無線LAN)のみと、Wi-Fiと携帯電話事業者が提供する通信網である第3世代移動通信システム(3G)の機能を搭載した2種類のモデルがある。
上記の基本を抑えたところで本題である。こうした新商品が普及するにあたっては、過去の例を見ても「エロコンテンツがどれだけ見られるか」が、かなり重要である。古くはビデオデッキから、DVDプレイヤー、そしてPC、今後は3Dテレビなどもそうであろう。ほとんどの男は、「エロ」をより良い環境で見たいがために、こうした商品を買うのである。地デジテレビなどはオリンピックやワールドカップなどスポーツイベントのたびに売り上げが大幅に伸びるというが、エロも隠れた貢献をしているのである。
しかし! iPadやiPhoneではそのエロやバイオレンスに規制が設けられているという。今年2月下旬、iPhone向けグラドル電子写真集「妄撮 for iPhone」が、販売サイトから削除されたが、それが事前通告無しの一方的削除だったことが判明している。写真集の版元である講談社は「強い影響力を持つ配信メディアだけに、審査基準を明らかにすべきだ」と、米アップルの対応に遺憾の意を示している。
さらに、現代日本文化の誇る最優良コンテンツであるマンガも配信が限定されるという。講談社がアップルに対して電子書籍の申請をしたところ、なんと30%もの書籍がリジェクト(掲載拒否)されてしまったのだ。 講談社によればリジェクトされた作品は、暴力シーンや手術シーンでの血の描写、お風呂に入るシーンやポロリシーンなどでは「おっぱい」の描写がジョブズセンサーにひっかかるのだという。この基準に従えば、海外でも大人気の『ワンピース』や『NARUTO』(ともに集英社)などもNGということか。今後はSONYなどの日本企業も新型デバイスの開発を進めていると言うが、エロコンテンツの提供は、国産デバイスに期待するしかないのかもしれない。
(文=高田コウイチロー)