「変態じゃ、いけませんか?」「仕方ないね、誰だってヘンタイでしょ!」
映画『ユリ子のアロマ』のテーマは、ずばり「変態」。HE・N・TA・I、だ。変態女の性と葛藤を描き、”性なる勘違い”による絶妙な寸止めエッチの連射を爽やかに描いた本作、主演はドラマ『時効警察』(テレビ朝日系)などで知られる江口のりこ。素敵な香りと優しい手指の技で、疲れた現代人の身体を癒すアロマセラピストのアラサー女・ユリ子(江口のりこ)は、実はかなりの匂いフェチ。ヤリたい盛りの17歳男子高校生・徹也(染谷将太)の汗の匂いに惹かれ、誰にも言えない秘密を抱えることになってしまう。一方、ユリ子の指名客・アヤメ(原紗央莉)は、どうやらクールなユリ子に恋心を抱いている様子で、アロマのレッスンをしてほしいと、大きな胸をユリ子に押しつけて誘惑してくる……。
変態たちの、どうしようもない日常を描いた本作では、それぞれ葛藤ゆえにスレ違いを繰り返し、しまいに誰もが互いに傷つけあう泥沼の展開に陥ってしまう。そんな中、唯一、「癒し系キャラ」となるのが、AVの世界で絶大な人気を誇り、一般映画への出演オファーも続々届いているという女優・原紗央莉だ。そこで、魅力的な笑顔で、スクリーンの向こうから迫ってくる彼女に、独占インタビューを敢行。原紗央莉の変態性、原紗央莉の癒し、そして女優としての原紗央莉を明かしてみたい。
原 まず私、加齢臭フェチなんですよ。結構、オジさんが好きで。ジャーナリストの鳥越俊太郎さんが、すごく好きなんです。
――突然の公開告白ですね。鳥越さんといえば、大病を患って、見事に生還された。その生命力にも惹かれている?
原 そうです、そうです、まさにその通りです! 結構、ギラギラしている年配の方が好きで。
――ということは、最近はやりの枯れ専とは違う?
原 枯れ専ってなんですか?
――枯れてくる世代、つまり落ち着いた年配の男性たちを好きなことですね。イメージは大学教授とか。
原 ああ、なるほどー。枯れてるよりも、ギラギラ系の方が好きなんですよね。なんていうんですか、落ち着いている感じはもちろんイイと思うし、物をいっぱい知ってる感とかロマンスグレーの髪とか……ハゲてても全然いいんですけど(笑)、枯れているよりはガツガツしてくれたほうが。私、実はMなんですけど、でも、男の人がなかなか手を出してくれないから自分からヤッちゃう、みたいなことが少なくなくて。積極的なMになっちゃうんです。ガッついてる人にあんまり出会わないのかもしれないですけど……草食っていうんですか? 男の人があんまり向こうから来てくれない。
――ゆゆしき問題ですね。本編を見ていて思ったのですが、登場する男子高校生たちも、童貞を捨てたくて焦っている割には、ユリ子さんという年上の女性に対して甘えているというか、とても受け身ですよね。
原 そうですね、確かに!
――「手コキしてください」とかお願いしてますし。
原 あははは。してました。
――だけど、ユリ子さんは、そんな高校生男子の「頭皮の匂い」にどうしようもなく惹かれてしまうという。
原 はい。汗をたっぷりかいた頭皮を、舐め回してましたよね(苦笑)。でも、私自身は、若い男の子はまだムリかもしれない。たぶん私、弟が二人いることと自分自身が若いこともあって、まだああいう気持ちは分からないんですよね。
――どちらかというとファザコンなんでしょうね。でも、学生時代は同級生男子とお付き合いしていたんじゃないですか?
原 普通に付き合ってましたね。でも、この映画で自分が高校生だった頃を思い出して、当時の同級生男子たちはこんなことを考えていたのか~、ってあらためてなんだか、罪悪感が(笑)。
――罪悪感ですか?
原 ヤリたい盛りだったのに、私は一体何回セックスを拒んだかな、とか当時のことを思い出しましたね(苦笑)。かわいそうなことをしたな、みたいな。
――逆に、原さん自身は高校時代の性欲ってどうでしたか?
原 うーん。私、処女喪失は遅いほうで、高校卒業してからだったんですよ。それで、当時より今の方が性欲はあると思うんです。つまり、一度快感を覚えてしまってからのほうが、性欲が強くなったというか。若い頃はそんなに、でした。初ペッティングからセックスまでの間に何年もブランクがあって、ペッティングは学生時代にもしてたんですけどね。
――当時の彼氏に対しては、生殺し状態だったわけですね。
原 そう、なんとなく挿入はできなくて、今となっては罪悪感。でも、自慰行為はしてました。人と交わるよりも、自分ひとりでこっそりオナニーしているほうが良かったんだと思います、当時は。だから映画の高校生たちはストレートだな、って。
――ストレートすぎてキモくないですか? 学校のマドンナ的女子の写真を拡大して、人形に貼り付けてパコパコ疑似セックスをするシーンもありましたよね。
原 あ~、そうですよねえ(笑)。私が中学生の頃にも胸が大きくて顔のすごくかわいい先輩がいて、Oさんっていうんですけど、完全にマドンナでしたね。Oさんが歩くだけで男子が「おぉーッ!」って騒ぐ、みたいな。本当に巨乳だったんですよ、驚くぐらいの! 私もドキドキしちゃってました。私はその頃、まだ全然ぺったんこだったんで。今は育ちましたね、わりと。
――今は童貞からの視線を集める側になりましたが。
原 いえいえ、普段の生活ではそういう視線、ないですからねえ。こういう仕事をしていると周囲の人間も、女性の身体って見飽きているというか。注目も何もないですよ。もっと早く発育したかったですね~。
◆好きな人の体液は、ぜんぶ舐めたい
――先ほども話に出ましたが、汗をかいた頭皮を舐め回す、というのは結構な変態行為かなと思うんですが、原さんはどう思われますか?
原 変態でしょうね。でも私自身も、愛おしい人の身体から出る液体だったら全部欲しい、っていう人なんで。ちょっと汚い話ですけど、ツバを欲しがったりとか。だから分からなくもないですね。何の液体だか分からないようなものを舐め合う、みたいなのが好きなので。あ、愛しい気持ちがあってこそですけどね! あと、さっきも言ったけど、加齢臭が好き。それから、声とか? 声フェチかもしれないですね。渋い声の方には、グッときちゃう。仕事でお会いしたある大人の男性の声がすごーくよくて、「ちょっと『おいで』って言ってみてください!」ってお願いしたことがあります。
――声や匂いで好きになって、最終的には全部の体液を舐めちゃう、と。
原 あと、フェチではないかもしれないですけど、左利きの人が好き。なんか、天才っぽくないですか? 左利きは頭良く見えるし、そうそう、「AB型の左利き」の人に会ってみたいんですよ! なんかすごく頭良さそうじゃないですか?
――希少価値が高いところに惹かれるんでしょうか。
原 あっ、そうかも、普通の鶏じゃなくて名古屋コーチン、みたいな!
――なるほど~。じゃあ、AB型でも左利きでもないフツーの男の人には、たとえ声がシブくて、いい加齢臭がしてもグッとこないんでしょうか?
原 うーん、それはそうでもなくて。私、男性の頑張っているところや、無心になっている瞬間を見るのが好きなんですよ。たとえば、暑い日に冷たい飲み物を求めて自動販売機でジュースを買っている姿とか。
――えっ、それ、頑張っている姿ですか!?
原 無心ですよ、無心!! ただひたすら、「今は喉を潤したいんだー!」って切羽詰まった感じ。あと、新聞を読んでいるときの、目の動きとか。真剣っぽく見えてキュンときます。でも、私に意識が向いてしまうと、もうヤダ。
――振り向かれたくない、ということでしょうか。
原 新聞を読んでいても、私に気付いてカッコつけ始めたりしちゃったらダメ。追いかけていたいんですよ。意識されると、引いちゃう。たとえ恋が実らなくても、一生追っていたい。恋に恋していたいタイプなのかもしれないです。ただ、このままじゃ幸せになれなそうなので、10年くらい経ったら、考え方も変わってるかもしれないですけど。
――役柄の上でも、片想いをしていましたよね。
原 そうです。アロママッサージ師のユリ子さんに憧れる女の子の役で、彼女の匂いを嗅ぎながらオナニーしたり。エロいですな(笑)。
――原さん自身にレズっ気はありますか?
原 ない、ですねー。女性に対して、憧れとか、キレイだな、とかそういう感情はありますけど。さっきのOさんとかも、憧れてはいました。でも、性の対象にはならないです。逆に、自分がレズの子から迫られたことはありました。2回くらい。
――その時のことを教えてください。
原 一人は完璧にレズで……女のコ狩りをしていたようなコなんですよね(笑)。狩人。私の友達で、背が低くてかわいらしいコがいるんですけど、そのコも「押し倒された~」って言ってて、「次は紗央莉を狙ってるらしい」って。私はスパッと断るタイプなので、強引に押し倒されることはなかったですけど、よく「お菓子一緒に作ろうよ~」とか誘われて、自然な感じでカラダを触られたりすることはありましたね(笑)。もう一人は年下のコで、女子寮に住んでいたんですけど、「昨日隣の部屋の女のコと……」みたいなエッチ相談のカミングアウトから始まって。
――どちらもエッチには至らなかったんですか?
原 よく女の子同士で手をつないだり肩を抱いたり、ってあると思うんですけど、それ以上のコトは私はできないんですよね。男の子が好きだし。レズものの作品も出演はまだなんですよ。作品の1シーンとして、ということはありましたけど。でも、そんなにイヤではなかったかも。女優さんってやっぱりキレイだし、クサくないですしね。
――逆に男優さんはクサいんですか!?
原 いやいやいやいや(苦笑)、違いますよ~。それどころか、男優さんたちはあまりにも清潔にされているので、それが逆に引いちゃうくらいです(笑)。だって歯磨き粉の匂いするし、下半身もソープの匂いするし、「キレイです!!」みたいな。話がそれちゃいましたね。女性は、男の人と違って舌使いもすごく柔らかくて新鮮でした。それにハマッちゃうコもいるんだろうな。もちろん女性同士の愛もひとつの愛のかたちなので、いいと私は思ってますよ。
◆原紗央莉は「笑顔でおかえりなさい」を目指す!!
――劇中では、ユリ子さんを癒してあげようと、尽くしてましたよね。最後の方はみんな攻撃的で傷つけあっていましたが、その中で唯一、原さんは癒しキャラでした。
原 ありがとうございます。いろんな意味で、私のシーンはヌキどころです(笑)。
――原さんが好きな相手を癒してあげたいとき、どんなことをしてあげますか?
原 うーん、「ほっとく」かな。というのも、私、ほうっておけない人なんですよ。人をかまっちゃうの。だから今後の私の「癒し目標」は、ほうっておいてほしい、って言われたときにちゃんとほうっておく、ってこと。ほうっておいたら、そのうち戻って来てくれるかなとも思うし。自分も、キーッてなっちゃってるときに、あれこれかまわれるよりもそっとしておいてもらったほうが、人恋しくなって戻るんじゃないかなって。もちろん、戻ってきたときには笑顔で迎え入れたいです。そういえば、この間、変なタクシーに乗ったんですけど、その話してもいいですか?
――どうぞ。
原 マネジャーと一緒に乗ったタクシーの運転手さんが、ものすごい説教魔だったんですよ。マネジャーが降りた瞬間、後部座席の私を振り返って、「君くらいだと、昭和何年生まれだ?」とか話しかけてきたんです。「昭和63年です」「あ、そう。若いんだねえ」みたいな。怪しげな感じでうざいって思ったんですけど、その人は「今の若者」について論じ始めて、嫌だなあと思ったので私も「あ、はい」「そうっすね」って適当な相槌を打ってしまってたんですね。そうしたら、「そうっすねじゃないだろ、女の子だろ!」って怒っちゃって! 「もっとおしとやかに! 寅さんを見ろ、サクラを見ろ、サクラを見ればおしとやかになれる」と言い出して、私が困って黙ってたら「返事は!?」って。
――それは困りますね……!
原 でも、よくよく話を聞いていたら、どうやらその人はフラれたばっかりだったらしいんですよ。「最近40代の姉ちゃんにフラれてさあ」って。最終的には、「チルチルミチルの『青い鳥』って話、知ってる? 知らないの? あれはね、最後、女の子の笑顔の中に青い鳥がいるんだよ。男の人が家に帰らなくなるのは、帰っても女の子の笑顔がないからだよ」っていう話をしていました。それはちょっと、一理あるなって私も思いましたね。「笑顔が見たいんですか?」と訊いたら、「そうだよ、あったりまえだろ! 女の子の笑顔が見たいんだよ男は!!」。
――素直な人ですねえ。
原 そう、意外といい人だったんです。最後、降りるときにはチョコレートをくれました、なぜか(笑)。それで、青い鳥の話じゃないですけど、ずっと笑顔でいるのは難しいけれども、自分はそうできるようにしたい、と今、思ってるんですよね。
――そんな原さんに癒されたい!! と切望する男性はかなり大勢いると思います。では、最後に、女優としてのお仕事について、今後の目標をきかせてください。
原 もうちょっと自然体の演技ができるようになったらいいですね。今は構えたところがありすぎるので、もうちょっとヌケた感じに。私はまだ、原紗央莉を演じてるんです。もちろん、映画やドラマの役柄にはそれぞれのキャラクターがあるんですけど、それでも原紗央莉になってしまってる。そこを払拭していきたいですね。
――ありがとうございました。
■原紗央莉(はら・さおり)
1988年1月1日、広島県生まれ。セクシー女優としてAVの世界ではもちろん、映画『ララピポ』(2009年)『細菌列島』(2009年)、ドラマ『嬢王 Virgin』(テレビ東京)などに出演し、演技の幅を広げている。
オフィシャルブログはこちら。
■ 『ユリ子のアロマ』
5月8日(土)より渋谷ユーロスペース他全国順次ロードショー
◆脚本・監督:吉田浩太
◆出演:江口のりこ、染谷将太、原紗央莉、木嶋のりこ、笠井しげ、外間勝、鈴木ゆか、金子ゆい/美保純
(C)シャイカー エースデュース ゼアリズエンタープライズ マコトヤ ワコー
ナンバーワン嬢を好演
性癖がモロに……!!