イギリス発
以前、イギリスで「アノ時の騒音」がすごく逮捕されてしまったカップルの話を書いたが、今度は同国で町の議会によって夜のセックスを禁止されてしまったカップルがいるという。
「The Scottish Sun」によると、この夫婦はアラン・ヘイ氏と妻のフィオナさん。アランさんは喘息を患っているうえ、夫婦とも体に障害があり無理は出来ないため、セックス所要時間は5~6分だというが、隣人の子どもがその騒音について教師に話したため問題が明るみに出た。その結果、何と町の議会で夫婦は夜の10時から朝の7時までセックスを禁止されてしまったという。
ここでの問題は、「だったら夜10時前にすればいい」ということではなく、町なかに住むもの同士の騒音の受け止め方と個人の自由の関係である。セックスというものはいわば、動物・人間の誰もがする(あるいはしたことのある)自然な行為である。隣人もそれをしたから子どもがいるわけなのだが、自分たちのことは忘れてしまったのだろうか? このように、議会が個人に向かって行動の規制を命令することはイギリスでは当然なのか? それならば、町全体で夜10時から朝7時までセックスを禁止すべきではなかろうか。騒音というものは、どこからいつ漏れてくるか予測がつかないものなのだから。
隣人によれば、たった5分間でも「2人はかなりの騒音をたて、いやらしい話をする」そうだが…。それは夫婦の寝室の中では普通のことであろう。まるで、「セックスをすることがおかしい」とでもいうような言い方が、いかにも潔癖症的なお堅い印象を受ける。そういえば、ピューリタン(清教徒)革命はイギリスから始まったのであった。ピューリタンとは、英語で宗教的な「清潔、潔癖主義者」を意味するものである。ハワイに来たイギリスのピューリタンたちが、裸に近い格好をしていた現地の住民たちに服を着させ、「いやらしい」とフラを禁止させた、という話を聞いたことがあるが、イギリス人は未だにそんな宗教観を受け継いでいるのであろうか、と思わせるエピソードである。
個人のセックスを禁止する前に、まず住宅の窓を騒音が漏れないような最新の頑丈なものに変える努力をするとか、そういう方向に発想が行かないのが、無宗教の筆者にとってはまったく不思議なのである。
(文=相馬 佳)
ホントなんでもあるね、本って