『芸能人 板垣あずさ 引退』板垣あずさ

 AV女優に対する後ろめたさや葛藤を抱えながらも、本名で堂々とAV業界を駆け抜けた板垣あずさちゃん。デビューから引退を決意するまでの2年5カ月間の本心を語った涙のインタビューで心を丸裸にした彼女は、生まれて初めてのパイパンに挑戦することで女性の大切な秘部までも裸にし、遂にAVを卒業する。

 デビュー作と同じ制服を着て、少しずつ剃りおとされていくアンダーヘアーを眺め、テレまくるウブな姿からは、約2年半もの間AV女優を勤め上げ、業界慣れしてしまったという雰囲気は一切ない。羞恥心は彼女の中にまだまだ残っていたのだ。その後、ツルツルになったドテを必死に隠そうとしながらジタバタ大騒ぎしてパイパンセックスに突入。丸見えのアソコに男のガチ棒が吸い込まれていく姿を恥ずかしさで顔を歪めながらもしっかり見つめ、可憐な声で喘ぐ姿は、まるで生娘のようでもあった。

「この冒険の章は完璧にやりきったんだから、新しい仲間がいる今、次の冒険の章に進まなくちゃいけないんだって」

 シーンが終わるたびに、涙で目を腫らした彼女のインタビュー風景がカットインされ、遂にこれで終わってしまうのだという切ない気持ちにさせられる。

 その後、パイパンの土手を男の股間に擦りつけ素股ヌキをし、人生最後かもしれない3Pで締めくくる。3PなんてAVでは見慣れたプレイ。しかし、これから普通の性生活に戻っていく彼女にとっては特別な思いがあったはずだ。2人分のザーメンを身体に受けて呆然とする彼女。撮影の終了と共に花束を贈呈されると、「みんな集まってくるから急に寂しくなっちゃったじゃないの~!!」と、子供のように泣きじゃくる。スマートなラストシーンとはほど遠いが、最後の最後まで板垣あずさは『板垣梓』でしかなかったのだろう、と実感させられたいいシーンだと思った。

 奇跡の制服ファックはこれで見収め。けれどAV業界の歴史の中に、ずっと板垣あずさの軌跡は残される。多くの人気AV女優は、そのことを支えにAV界を卒業していく。母校を旅立つ卒業生の顔で。けれども、最後までAV女優の型に収まることがなかった彼女は、当たり前の顔で板垣梓の生活に戻っていくのだろう。今ごろはきっと、人生の第2章チャプター1を見つけ、爽快な顔で走りまわっているのだろう。そう思わせてくれる、清々しい引退作である。
(AV評:文月みほ)
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