女のイキ顔には、その女ならではのセックス美学が反映されている。どんなに感じていても、取り乱した表情を見せないのも美学。大袈裟に眉間に皺を寄せのた打ち回るのも、涎を垂れ流しながら獣の咆哮をあげるのもそう。並大抵のことで、この美学を覆すことは不可能。なぜなら、女はイキ顔も笑顔と同じく愛情表現のひとつと考えているからだ。常日頃から愛らしく見える笑顔を鏡の前で研究する女ほど、イキ顔にも強いこだわりがある。それが女優であればなおさらだ。
しかし、そんな美学をあっさり覆してしまう作品がある。それがこの『鬼イカセ』だ。単に器具を使って絶頂を導く作品とは違い、イカセの方法は女優によってバラバラ。精神的なプレッシャーと物理的な快感を絶妙に組み合わせた巧妙な仕掛けによって、どんな頑なな女優でも不様なイキ顔を晒さざるを得なくなってしまうのだ。
最新作に登場するのは、美熟女の中の美熟女、北条麻妃さん。最近では、高圧的に男を責めるプレイが多い彼女は、喘ぎ顔もイイオンナそのもの。しかし、今回ばかりはそうもいかなかった。ウォーミングアップ代わりの巨根セックスから始まり、舐めだるま氏による豆ローター責めで、早くも理性は制御不可に。美顔をくしゃくしゃに歪ませて、髪を振り乱しながら喘ぐ姿は、まさにまな板の上の鯉。ジタバタと惑うものの逃げ場などなく、ただ泣き叫ぶのみ。挙句の果てに、鼻栓をされてイラマチオまでさせられてしまい、これではどうやっても美顔を保てるはずもなく……。
しかし不思議なのは、手の届かない美女は、どんなに不様にイカされようとも魅力は衰えないということ。衰えるどころか、むしろ、愛くるしいと感じてしまうのはなぜなのだろう。
(AV評:文月みほ)
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