今月4日、FIFAワールドカップ開催を控えた南アフリカ共和国でおめでたいニュースが報じられた。ジェイコブ・ズマ大統領(67)が通算5人目の妻(37)と結婚式をあげたというのだ。南アフリカは一夫多妻が許されており、さらに昨年12月、今回の相手とは別の女性とも結納を交わしているという。今年中に6人目の妻を娶る可能性も高いというわけだ。なんとも羨ましいハナシだが、年齢的に夜の生活は大丈夫なのだろうか。ちなみに、大統領夫人を一般的に「ファーストレディ」と呼ぶが、ズマ大統領はいずれの妻からも「ファーストレディ」を選定しないと発表している。
現在、アフリカの一部地域やイスラム教社会では一夫多妻が認められている。中でも厳格に一夫多妻の法律が定められているのがイスラムの法制度だ。具体的に、男性は同時に4人までの女性と結婚できるという。しかしコーランの教えでは、夫は娶った妻を平等に扱い、均等に扶助しなければならない。そのため、複数の女性と結婚できる男性は、一部の富裕層だけに限られている。一夫多妻の世界に住んでいる男性すべてが、ウハウハというワケではないようだ。そもそもイスラム一夫多妻制度は、戦争の頻発した時代に未亡人となった女性を救済するために生まれたという考えが定説だ。決して男の欲望から生まれた制度ではないのだ。しかし近年は近代ヨーロッパ的な考え方も浸透しつつあるようで、「一夫多妻は前時代的・女性差別的である」という声も多い。実際、トルコやチュニジアではイスラム教国でありながら一夫多妻を法律で禁止している。
長い歴史を持つ一夫多妻制度だが、史上最も多く妻を娶った男性は一体誰だろうか。古代イスラエルのソロモン王はなんと、正妻300人、側室700人の計1000人を囲っていたという。なにぶん紀元前のハナシゆえ多少の誇張があるにせよ、偉大な権力者となればすさまじい人数の女性を抱えていただろう。また、イスラム世界に帝国を築いていたオスマン帝国の君主たちは、宮殿の一角(ハーレム)に国中の美女を集めていた。日本では江戸城の大奥が有名だ。さて、ここまで挙げた例はいずれも現代日本人ではピンとこない世界かもしれない。しかし現代でもこの世界には、スケールの違う一夫多妻生活を営んだ羨ましい男がいるのだ。
08年、ナイジェリアで妻86人を持つ84歳の男性が裁判にかけられた。前述したイスラム法で定められた4人を82人もオーバーしており、子どもの数は約170人もいるという。いくらなんでも性豪すぎるこの男性、厳格なイスラム教聖職者の中には彼を即刻死刑にすべきという非難もあったが、4人の妻を残して残りの妻と離婚しないかぎり居住地から追放するという処分に落ち着いた。しかしその処分さえ徹底的に無視し続け、ついにはイスラム法への侮辱だとして拘束されてしまった。現在は男性の家族による、抗議活動が続いているという。
ところで、日本でも一夫多妻生活を目指し、いびつながら成功している人物がいたのを覚えておいでだろうか。05年からその特異な生活をマスコミに報道されるようになった、東大和市に住む自称占い師の男性(当時57歳)である。男性は00年頃から、アシスタントとされる複数名の女性と共同生活を開始。複数の女性を外で働かせ、その収入で生計を立てていた。同居する女性の多くとは、結婚後すぐに離婚するという方法により婚姻関係を結んでいたという。しかし男の夢を実現したこの王国に06年、陰りが生じる。集団生活への参加を拒否した女性を脅迫したという容疑で、男性が逮捕されたのだ。男性は執行猶予付きの有罪判決を受け、王国はこのまま崩壊すると思われたが……。なんと、07年以降もこの共同生活は続いており、男性の周囲には10人の女性がいるという。当時、男性は女性にもてる理由を「夢で見た『もてる呪文』を唱えたため」と語っていたが、現在に至ってもその呪文は判明していない。
男子たるもの一度は夢見る(?)一夫多妻制。しかし女性に囲まれて暮らすためには、権力や財力、あるいは呪文の力が必要となるようだ。……まぁ、壮大な夢を見る前に最低限、1人の女性を満足させるだけの甲斐性がなければ、どうにもならないということを忘れてはいけませんヨ。
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多分、カラダがもたない