「美人時計」をご存知だろうか。渋谷や原宿などのストリートを実際に歩いている一般人の美女をモデルに、時刻を分単位で表示するという大人気のウェブコンテンツである。
1人4分間登場するので、合計で一日1,440枚、360人もの美女画像が楽しめる。当該サイトは今年1月の開設からすぐさま口コミなどで話題を呼び、月間2億5,000万PVを達成。毎日2,000人以上のユーザーにダウンロードされている。さらに「美人時計」はただのウェブコンテンツだけには止まらず、Googleガジェットやブログパーツとしても配布を行い、各ガジェットランキングでも常に1位を獲得している。
さて、この「美人時計」だが、ユーザーはどんな風に活用しているのだろうか。
「仕事中に『この子は可愛い』、『いや可愛くないだろ』なんてやりとりしつつ、同僚と見ています。4分ごとに女の子が変わるから、ずっと見ていられますね。仕事? まったく進みませんよ(笑)」(IT関連・会社員)
「とりあえず画像を自動でダウンロードできる設定にしていますので、一日の終わりに見返して、好みの子だけ選りすぐったアルバムを作ってます。楽しいけど、もうすぐハードディスクがいっぱいになりそうなんですよね……」(フリーライター)
と、このように皆さん思い思いの方法で「美人時計」を楽しんでいるようだ。
しかしそんな中、とあるネットユーザーが「美人時計」を驚くべき方法で活用しているとの噂話を聞き、早速アポイントを取って話を聞いてみた。
「オレはこれでもう20人以上の女性と出会いましたよ」
そう語るのは、コンサルティング業のM氏。ただのウェブコンテンツに過ぎないハズの「美人時計」を利用してリアルの女性と出会う? そんな夢のような方法が本当にあるのだろうか。さらに詳しく話を聞いてみた。
「初めはオレもただのコンテンツとして『美人時計』を見て、自分好みの子が出たら保存する、といった具合に楽しんでいただけなんですけど、ある日、渋谷駅の東口で偶然その子を見かけちゃったんです。実物はそんなに可愛くなかったんですけど(笑)、かなり特徴的な服を着ていたから一発で分かりました。そこで『美人時計に出てませんでしたか?』って声をかけてみたんです。そしたらその女性、こっちがちょっとビックリするぐらい喜んでくれて(笑)。そこから『美人時計を見てずっと気になってたので、もしお暇ならご飯でも……』という感じでしたね」
そんなに簡単にいくものだろうか? ネットコミュニケーションに詳しいルポライターのN氏はこう語った。
「このナンパ法には二つのメリットがあります。一つ目は、『美人時計』に出ていた、と相手に言うことで対象の女性が美人であると認めていることになり、おべんちゃらのような、直接的でない褒め言葉として働くところですね。二つ目はウェブコンテンツという大多数に向けて発信されるメディアに出ているということで、若い女性の多くが抱いていると思われる『アイドル願望』が満たされるのではないでしょうか。擬似的に有名人の気分を味わえるんでしょうね」
つまり、「美人時計に出ていませんでしたか」という言葉は、相手に好感を抱かせる二つの意味が込められた魔法の言葉ということになる。
M氏の武勇伝はまだ続く。
「それからすっかり味をしめてしまって(笑)。仕事柄、渋谷駅周辺にいることが多いので、ケータイに気に入った子の画像を保存して、暇な時にちょっと探してみたんです。あとは普通のナンパと一緒。根気勝負ですよ」
それでも、普通のナンパよりも成功確率は格段に跳ね上がったという。さらに、お手軽な方法もあるという。
「実は……ある日、出演してなかった子に声をかけたんですよ。単に似ていたから間違っただけなんですけど(笑)。そしたらその子は美人時計自体を知らない様子だったので、いつも使っているiPhoneで見せてあげたんです。すると女の子も興味深々って感じで」
それからM氏の方向転換が始まった。
「そこでふと気づいたんです。もしかしたら実際に出演してない子でもイケるんじゃないだろうかって。そこから出演者を見かけたら『美人時計ナンパ』、出演者を見かけない時は『美人時計ナンパ・嘘バージョン』って、切り分けながらナンパすることにしたんです。もちろん実際の出演者の方がゲットできる確率は高いですけど、コレのお陰で普通のナンパもゲットの確率が上がりましたね」
出演者もプチ有名人気分が味わえて嬉しい。観る側も可愛い子が見られて嬉しい。さらにはナンパする際に有利に働くので嬉しい。と、いろいろな楽しみ方ができる「美人時計」。うまく使えば、新しいタイプの出会い系ツールとして使えるかもしれない。
貴方も「美人時計」を活用して、恋の時計の針を進めてみてはいかがだろうか。
『「出会いがない」が口ぐせのあなたへー引き寄せの恋愛法則』著:ぐっどうぃる博士/幻冬舎刊
引きこもりでもない限り、出会いだらけ?