うちの近所のビルに、かなり有名なブルセラ・ショップがありました。店内には有名女子校の制服やブルマー、水着、ルーズソックスに生写真がギッシリ。遊びに行くと、人のよさそうな店長がいつもニコニコして部屋の奥に座っていたものですが、最近、この店長とよく道ですれ違うの。もう15年以上経っているので風貌はすっかり初老ですが、やっぱり顔はニコニコしている。声をかけようと思うけれど向こうは覚えていないみたいなので、ただすれ違うだけですが……。でもぼくは、彼と会うたびに、15年前の衝撃のセリフを思い出すわけ。
「タイで少女とやってきましてん。子どもはいいよぉ」
ニコニコしながら言うな! しかし、すごい時代があったものです。タイでの少女買春が問題になったのは、80年代から90年代にかけてだと思いますが、この店長だけじゃなくて、普通のサラリーマンが普通にツアーに行って普通に買っていた……わけでしょ? これってどんな時代!?
かように日本人の男は、世界で顰蹙を買うほど子ども好きだったわけですが、一方、国内で「子ども商品」を提供して大ブームになっていたのが、ブルセラ・ショップだったわけですね。
今回は1992年のお話。前年の91年に登場したブルセラ・ショップは、またたく間に全国へと広がっていきました。
みなさん覚えていますか? 実際に店に行ったことがなくても、マスコミで話題になりましたから、店内の様子をなんとなく思い出す人も多いのではないでしょうか。
だいたい入り口近くは、制服系、奥に進むにつれて靴下、ブラジャー、パンティーと過激になり、一番奥に店長がいて、カウンターに生写真が飾ってありました。
そういうものを売るショップもショップですが、その前提となるのは「商品」を提供した女子校生たちが大勢いたこと。
2002年の事件ですが、女子校生がその場で脱いだ生下着を持ち帰れる『ファイナルファンタジア』というブルセラ・ショップが摘発された時は、登録していた女子中・高生の数が1800人もいたとか。
タイの少女の話には気持ちの沈むものがありますが、こちらはむしろアホな話ですよね。パンティー売ります・買います、ルーズソックス売ります・買います……。あげくに、ツバ売ります・買います、オシッコ売ります・買います……って、お前ら何考えてまんねん(笑)という状態。
ブルセラ・ショップは、そういうものを売ってお小遣いを稼ぎたかった女子校生と、そういうものでシコシコしたかった大人たちの間を取り持つ中継基地の役割を果たしていたわけですが、さて、最後に実際にルーズソックスやパンティーがいくらで取引されていたのかというと。
制服……20,000円~100,000万円
ルーズソックス……4,000円~8,000円
パンティー……4,000円~10,000円
ツバ……2,000円~4,000円
面白いのは、どの店にもカウンターの壁に必ず「古物商」の認定証が貼ってあったこと。パンティーもソックスも古物ということだったんでしょうか。
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