先ごろ大好評のうちに放映を終了した『咲-Saki-』（テレビ東京系）の原村和や『狼と香辛料』（独立UHF局）のホロなど、数々のアニメでヒロインを演じる人気声優・小清水亜美が、怪しげなビジネスに巻き込まれているという噂が立っている。その疑惑は、「Velvet Anglaise」という新しいファッションブランドが催したデザイン画の一般公募に端を発する。
今年の4月、「Velvet Anglaise」という新規ファッションブランドが、ゴスロリファッションのデザイン画募集をweb上で告知した。一般選考で大賞1名・入賞3名を選出したのち、それぞれの応募作品をサイズに合わせて制作し、賞品とするというものだった。当初は5月末がデザイン画募集締切だったが、のちに6月末まで応募期間が延長され、一次選考と一般投票を経ての結果発表は9月の予定となった。この間、主催する会社名は東京都にある「（株）Blue in Green」とされていた。
そして9月20日、Velvet Anglaiseのオフィシャルサイトに突如小清水の名が登場する。
「Velvet Anglaiseの活動が、なんと【小清水亜美さん】の目に留まりました！」
「小清水さんとの共同プロデュースを只今企画中！！！」
と特別ページで大々的に告知され、洋服好きの彼女がデザイン選考に参加することになったと選考中の写真とともに記されていたが、同時に合計3673点と多くのデザイン画が集まったことで大賞・入賞とは別に新たな企画を立ち上げたことも述べられていた。やや遅れて10月3日には、小清水自身のブログにもこのことが記される。
事態が急変したのはその2日後、5日のこと。2ちゃんねるには9月25日に『【ファッション】声優の小清水亜美さんがVelvet Anglaiseという新しいゴスロリブランドの一般募集によるデザイン選考に参加』というスレッドが立ち、細々と話題になっていたが、この日Velvet Anglaiseから届いた「デザイン採用候補通知書」を不審に思った応募者の書き込みが相次いだのである。それによると、『大賞・入賞は逃したものの応募作品の出来がよかったので世界へ向けて販売していくVelvet Anglaiseのオリジナルブランド服デザインに採用したい。商品サンプル製作費3万円の振込をもって専属デザイナーとして採用する』――というのが通知の内容という話だった。なお、振込期日は10月15日となっている。
さらに振込先の社名は福岡県福岡市博多区の「ヴェルヴェット株式会社」となっており、これまでデザイン画募集を主催していた「（株）Blue in Green」が社名を変更、業務拡大のためヴェルヴェット社と同じ人物が代表取締役を務める親会社の事務所へ一時移転する旨が記されていたのである。
スレッド上では、封筒の住所が福岡なのに消印は仙台となっている点、12枚に及ぶ通知書も文体が稚拙で、3万円の振込みの説明も「専属デザイナーとして採用」だったり「デザインの採用」だったりと記述に統一性がないなど、不審な点が数多く見られることが話題になった。何より「企画の趣旨が変わって本当にごめんなさい」と2枚目で自ら述べられており、応募者のデザイン画の中から優秀作品を実際に制作するというものがいつの間にか「本当に優秀なデザイン製作者のみんなともっと一緒に頑張りたいということで、ヴェルヴェットアングレイズのデザイナーとして共存共栄していきたい」（※採用候補通知書より抜粋）という話にすり替わってしまっているのだ。
「募集時には金銭振込の旨についてどこにも明示されていなかったため、特定負担を伴う取引契約の締結について勧誘する目的だったことを隠していたことになります。これは特定商取引法に違反する可能性があります」（法律事務所職員）
話題になった直後、Velvet Anglaiseのオフィシャルサイトから小清水のブログへのリンクが切られた。2ちゃんねるスレッドの参加者や、デザイン専門学校での告知がきっかけで応募した生徒に相談を受けた学校側がヴェルヴェット社に電話をしてみても応答がないとのこと。電話で取材を申し込むも、入社から数日目という若い男性が応じ、「ヴェルヴェット社の担当者は全員が出張しており、帰社直前に連絡をよこしてくるためいつ戻るかもわからない」という話だった。メールでの問い合わせにも、期日までに返答を得ることはできなかった。
小清水のブログ記事では、Velvet Anglaise側が話を持ちかけてきたような書かれ方がされているが、このようなビジネスに利用されたとあっては、声優として高い人気・実力を誇る彼女のイメージが悪化しかねないのではないだろうか。一刻も早い真相の究明が待たれるところだ。
数え役満!!