五輪招致への熱意を見せている
6月末、日本随一のソープランド街である東京・吉原で、業界最大手の「角海老グループ」が摘発を受けた。どうやら、無許可の風俗案内所を運営していたらしい。この事件を耳にした当初、取り立てて何も感じることはなかった。だが、折しもこの時期は、東京都が国際オリンピック委員会(IOC)に対し、2016年の五輪招致のプレゼンテーションをおこなっていた時期と一致している。
まさか、来るべき東京五輪に向けての「見せしめ摘発」だったのか? いやいや、さすがに決まってすらいない行事のために、7年前から警察が動くとは考えにくい。今回の事件と五輪招致は、まったくの別問題と見ていいだろう。
しかし、ここで改めて不安になった点がひとつある。もしも2016年の五輪開催地が東京に決定したら、「都の浄化」という大義名分のもと、都内の風俗店が一斉摘発を受けてしまう可能性があるのでは……!?
そう言えば、2005年の「愛知万博(愛・地球博)」では、「名古屋の風俗店が一斉摘発を受ける」という噂が流れた記憶がある。万国博覧会と五輪──同じ国際的行事として、これ以上に参考となる前例はない。そこで、当時の詳しい様子を風俗情報誌のライターに聞いてみた。
たようだが……
「たしかに『万博を控えてガサ入れが厳しくなる』と噂されましたが、実際にはほとんど摘発はありませんでした。ただし、この背景には『万博を警備するための準備で忙しく、摘発にまで手が及ばなかった』という情報もあります。その点、2016年の五輪開催地が決定するのは今年の10月なので、いくらでも準備期間はあると思います。でも、摘発を受けるのは不法滞在の外国人や未成年者を置く違法店や、無許可で設置された風俗案内所くらいでしょう。風営法や条例が変わらない限り、優良店に影響はないと予想できます」(風俗誌ライター)
摘発を受けるのは違法店だけ? それならば何も心配はいらないような気もするが、この事実を優良店はどう受け止めているのだろう。新宿をはじめ、各地方都市に店舗を持つ大手風俗グループの店長に話を伺った。
「基本的に大きな問題はないでしょう。大きな歓楽街では優良店同士で協会を結成し、定期的に警察を呼んでミーティングをしています。そこで、『我々は規則を守って営業しています。何かご指導があればお願いします』と確認していますからね。その際、警察の方から『今度、各店舗を巡回するから』と捜査時期を告知してもらえることがあるんです。ただし、当然のようにアポ無しの捜査が入ることもあります。これは警察の人事が活発な4〜6月に多く、新しく配属された警察の人が張り切っちゃうパターンなんですよね(笑)」(風俗店店長)
では、もしも東京五輪が開催されるとしても、都内の風俗業界は問題ナシってこと!?
「しいて問題点を挙げるとすれば、風俗案内所の減少によって、東京を訪れる観光客が困ることでしょうか。まぁ、この業界は警察とのイタチごっこなので、案内サービスが何かしらの摘発を受けたとしても、それに代わるサービスが生まれるとは思いますけどね」(同店長)
今後、観光客が風俗店を訪れる際はネットや風俗情報誌などの下調べをしておいた方が良さそうだが、ともあれ風俗業界に差し迫った危機がないようで、ホッとひと安心なのでした。
こんな万博、大歓迎