そもそも「熟女」とは?
世間一般で言う〝熟女〟と、AV業界で言う〝熟女〟とは、年齢的に大きな差があることにお気付きの読者もいるはずだ。広辞苑第五版には『熟女』という項目は載っていなかったが、フリー百科事典・ウィキぺディアによると、「熟年の女性。年齢は定められていない」とある。また、「アダルトビデオでは、人妻=熟女というカテゴライズ」ともあることから、20代女性でも作品によっては〝熟女〟設定になることもあるようだ。
レンタルAV最大手『FANZA』のホームページから「熟女チャンネルAVメーカー一覧」を見ると、81社の熟女AVメーカーがずらりと並ぶ。そこには、ウィキべディアの解説どおり、20代のアイドル系や30代の人妻系女優をフィーチャーしているメーカーも少なくない。
その中で、2020年に新作をリリース、もしくは配信している熟女メーカーのみを選別し、筆者目線で熟女AVメーカー13社を比較してみた。
美熟女メーカー『マドンナ』
まずは、熟女AVといえばここから。AV大国・日本が誇る美熟女メーカー『マドンナ』だ。
人妻・熟女専門メーカーとして2003年に設立されたマドンナは、友田真希や北条麻妃、白木優子、白石茉莉奈といった超一線級の専属女優がズラリと並ぶ美魔女集団。今年はさらにスーパー美少女・希島あいりも専属(アイデアポケットとダブル専属)となり、より一層強力な布陣となった。
新人熟女の専属デビューも止まらない。元CMタレントの鈴乃広香やマドンナ史上最強の「イイオンナ」と評判の木村穂乃香など、熟れ具合、濡れ具合、艶具合、いずれも申し分のない新人がデビュー作から淫らな姿態を見せている。
女優レベルだけでなく、リアルで生々しい作風でも人気。特に最近はヤリ手女上司モノ『出張先のビジネスホテルでずっと憧れていた女上司とまさかまさかの相部屋宿泊』や、人妻メス堕ちモノ『夫の上司に犯され続けて7日目、私は理性を失った…。』などが作品数を伸ばしている。いずれもエロ漫画でも人気のジャンルであり、こうした世の時流は熟女AVにも反映されているようだ。
熟女専門の老舗メーカー『センタービレッジ』
そんな『マドンナ』と双璧をなすと言われるメーカーが、「センビレ」こと『センタービレッジ』だ。
熟女専門の老舗メーカーだけに作品数は非常に多く、若妻から還暦、細身にぽちゃ巨乳と熟女のタイプも作品も様々だ。人気作は『初撮り人妻ドキュメント』シリーズで、その中でも五十路熟女系が多い。
〝初撮り〟ということは、AVデビュー作もしくはそれに近い新人熟女ということだろうが、筆者の身近にいるような五十路女性よりはかなりのレベルで美しく、こんな美熟な逸材をどこから探しだしてくるのか不思議でならない。
また、そんなAV初出演の素人熟女たちが、作品の中で男優に様々な快感スポットを開発され、大きなアエギ声で喘ぐシーンは、筆者と同世代の熟女とは思えないような快感の溢れ方に、羨ましくも思えてしまう(笑)。まあ、女性の美しさも乱れ方も、男優や作品の演出、撮影、編集が優れている証拠だろう。
その中で筆者が気になった作品は、『南條れいな54歳 Second Best 6作品8時間』だ。ベスト作品集ではあるが、五十路にして美しい南條れいなのスタイルもさることながら、センビレの様々なエッセンスが詰まった美熟女AVの見本のような作品。若い女優から人妻、熟女に目覚め始めたユーザーにはオススメだ。
NTRの元祖『タカラ映像』
マドンナ、センビレ同様、美熟女系のメーカーとして人気なのは『タカラ映像』。特にストーリーモノに定評があり、メインレーベルの『ALEDDIN』で展開される『お義母さん、にょっ女房よりずっといいよ…。』や『再婚相手より前の年増な女房がやっぱいいや…』、『義理の息子』や『母姦中出し』、『息子の嫁と義父』や『友人の母親』などのシリーズは、シチュエーションはそのままで女優を変えるという手法で根強い人気を誇る。
近年では、『公民館の忘年会でウチの妻がねとられたのですが…』や『かっ会社の懇親旅行で妻が挿入された模様なのですが【事後】』といったドキュメント系の「ですが」シリーズも人気。こうした「妻の寝取られ」を題材にした作品群の需要は高いようで、続々と新シリーズが誕生している。
いわゆるNTRモノは今やAV界で一大ジャンルとなったが、その大きなきっかけとなったのもタカラ映像のレーベル『寝盗会 元祖NTR』と言われる。このレーベルから生まれた『ネトラレーゼ』の衝撃はすさまじく、もはやレーベル名を凌駕するほどの人気を博す。
寝取られ専門メーカーの『JET映像』
NTRの人気はすさまじく、寝取られ専門メーカー『JET映像』が誕生するほど。様々なジャンルの作品がある中で「寝取られ」に特化したメーカーがあるというだけで、いかにNTRの人気がすごいかがよくわかる。
当然ながら、『JET映像』はNTR専門だけに様々な「寝取られ」を作品にしている。
夫の借金のカタに寝取られる妻だったり、反社的な隣人に乱暴される妻の映像を見させられる夫など、ポルノ映画時代からありがちなベタなストーリーから、妻のパート先のバイトに寝取られ、その証拠の隠し撮り動画をAVで発売する夫など、少しユーモアある作品まで様々だ。
女優陣も、若手で人気のあおいれなや美谷朱里、「熟女」と呼ぶにはまだ早すぎる渚みつき、枢木あおいなどのロリ系女優から、並木塔子や風間ゆみなど、文字通りの熟女女優まで幅広い。
熟女の中でも美人でスタイルのいい美形女優が多いのは、寝取られ専門だけに、寝取ることができて嬉しい、寝取られて悔しいと思える女優を器用しているということだろう。熟女フェチとはまた方向性の違うフェチ作品メーカーといえる。
フェチ系熟女ものが人気の『熟女卍』
次はそのフェチ系熟女ものが人気の『熟女卍』だ。複数のレーベルがあるが、『熟女バンク』は、部屋にやって来た熟女を口説いてそのまま生中出ししてしまう『熟女限定 熟女が部屋にやって来た』シリーズが人気、というかそのシリーズしかない。
そして、『熟女はつらいよ』レーベルは、ナースものに放屁、放尿、昏睡レ●プものなど、マニアックな作品がメインだが、いずれのレーベルも美女系熟女優がキャスティングされていて、ユーザーの目を離さない。
リアルな熟女に傾倒『熟女JAPAN』
フェチ系作品といえばここもそう。『イケメンが熟女を部屋に連れ込んでSEX~』シリーズが140作に届こうとしている『熟女JAPAN』だ。
筆者の目線で見る限りでは、美熟女女優が多い他のメーカーに対し、リアルな熟女に傾倒している作品が多く、乳首攻めや唾液、レズなどのフェチものも多い。
手コキされながら乳首を舐められまくる『男性完全受け身「そのまま射精していいですよ…」二点同時責めで高まる射精感!!カリ首グリグリ乳首ペロペロ感度倍増美熟女の乳首舐め手コキ 50人』は、手コキ風俗好きの男性にとっては、まさに垂涎の作品といえよう。しかも50人の熟女が登場するとあっては、朝までにアカムケにならないか心配でもある(笑)。
老舗の『グラフィティジャパン』
同様の熟女企画ものの老舗が『グラフィティジャパン』だ。『素人おばさんナンパ』や『素人!! 母娘ナンパ中出し』、『居酒屋ナンパ痴●』などのシリーズ物が人気。女優も単体よりは企画女優が多いが、その分、本物の素人ものを見るような、リアルな視点で楽しめる。
マッサージものが好きな筆者的に気になったのは、『素人おばさんナンパ 4「私みたいなおばさんとしたいの?」媚薬マッサージを施されセックスしてしまうセレブ妻たち15人!4時間!』だ。
マッサージしながら口説いていくという、昔からありがちなストーリーではあるが、徐々に興奮していく熟女たちの盛り上がりと、本気のイキっぷりがおもしろい。熟女風俗作品は非常に少ないので、ぜひシリーズに加えてほしいものだ。
田舎のおばちゃんシリーズが人気の『ルビー』
そんな、フェチ&リアル熟女メーカーであればここを忘れてはいけない。『ルビー』は3000作を超える作品をリリースしている人気メーカーで、特に母子ものやレズ、そして、田舎のおばちゃんシリーズが人気。
特に、おばちゃん達が全員全裸で農作業をしている『全裸農園に行ってきた!身もココロも自然と一体となって、カラダの内と外から健康になれるエロエロな農園で、アメージングな体験をしてきました!』は笑ってしまった。
『なんで地方の母ちゃんはチチとケツがデカいんだべ!田舎の豊満お母さん』や『全国熟女捜索隊 田舎に泊まろう! 山梨・上野原編 嶋崎かすみ』など、ローカルな地域にしぼり、〝実家の母ちゃん〟感を出した作品の監督は、きっと地方出身に違いない(笑)。おしむらくは、訛りがあればもっと雰囲気がだせたとおもうのだが…。
女優陣はリアルなおばちゃん系から洗練された美人女優まで幅広く、農村にこんな美人熟女がいるのか? と違和感を感じなくもないが、エロければ全て良しだ。
幅広い熟女を堪能できる『エマニエル』
そして、「熟女チャンネルAVメーカー一覧」を見ていて気になったのがエマニエルだった。
いくつものエマニエルレーベルがメーカーとして分散していたので、独立したのかと思ったらそうではなく、作品数が多いのでFANZAが個々のメーカーとして扱っているという意味だろう。
『アクアモール/エマニエル』や『美人魔女/エマニエル』は20代~40代の美人妻に美熟女を揃え、『熟女塾/エマニエル』では四十路~の熟女の円熟した身体を堪能できる。エントリーの中にはさらに多くのエマニエル系列のメーカーがあるので、ユーザーそれぞれの下半身にぶら下がっているフェチ心がマッチするメーカー、レーベルを選べるのは嬉しいところだ。
今回選別したメーカーは、特に意識はしなかったが、リアルなおばさん女優というよりは、美熟女系が多かった。熟女メーカー一覧の中にはリアルおばさん系作品を中心とするメーカーもあったが、新作のリリースがなかったり、作品数が限られていたりして今回の選別には入れなかった。
その辺を鑑みると、ユーザーの傾向としては、熟女であってもスタイルがよくて美人の女優に人気が集まっているということ。風俗では罰ゲームのような熟女やデブだらけのデリヘルが一定の人気を保っているが、やはり最大公約数は美熟女に傾いていると言える。
「母」推しの『VENUS(ヴィーナス)』
その人気の美熟女を、さらにもう少し熟寄りにしたのが『VENUS』や『Mellow Moon』の作品だ。
『VENUS』は『母の親友』シリーズが人気。スレンダーな東条蒼に、巨乳でグラマラスな八神さおり、推川ゆうりなどの若手から三十路、四十路女優の名前が並ぶ。
そして、『VENUS』の作品のタイトルを見ていて気づくのは、『母』という文字の多さ。熟女というテーマは、『妻』より『母』が似合うということか。
関係性が深すぎない熟女なら『Mellow Moon』
『Mellow Moon』のタイトルは逆に「おばさん」という、他人や隣人、知人の代名詞が多い。女優は三十路~五十路と年齢的には『VENUS』とかぶるものの、近親相●ものがニガテというユーザーには好まれるだろう。
淫靡なドラマを楽しめる『ながえスタイル』
そして、美熟女のリアルのエロさを官能ドラマ化した作品といえば、『ながえスタイル』と『溜池ゴロー』だ。一般的なAVのドラマよりリアルで、まるで官能小説でも読んでいるかのような詳細な表現とセックス描写が楽しめる。
『ながえスタイル』は『溜池ゴロー』に比べると女優のネームバリューは若干落ちるが、美人度やスタイルは変わらず、作品には淫靡な雰囲気があり、それが好きな向きにはゾクゾクする興奮が感じられる。
美しい熟女が出演『溜池ゴロー』
『溜池ゴロー』は、メーカーもレーベルも『溜池ゴロー』で、人気女優から本物の人妻までとキャストも様々。ただ、一貫しているのは、美しい熟女という点だ。
深田えいみや美谷朱里といった20代前半の女優から、川上奈々美や篠田ゆうなどの中堅どころ、そして東凛や松下紗栄子など三十路のおいしい時期を迎えた女優という食材が、溜池ゴローの手腕によって、さらに美味しく調理されている。一度味わうと、次から次へと食べたくなるのが溜池作品の魅力だ。
熟女AVにも様々なメーカーがあり、それぞれに独自の企画やドラマを練り、より楽しめる作品を作っている。お気に入りの女優もいるだろうがそれに捉われず、好みの企画、好みのドラマ作品を選ぶと、さらに様々な女優が観れ、興味も広がるのではないだろうか。
《風俗ライター/松本雷太》