私の店の求人で応募してきたキャスト以外に手を出す時は、ある程度様子をうかがってからと決めている。
それは、スカウトマンや第三者が連れてくるような女性の場合、私との関係を暴露されるといろいろと面倒だからだ。
つまり、私が数々の女性と遠慮なくお楽しみできているのは、万が一関係を拒まれた時、求人応募なら「そのキャストが店を辞める」というデメリットのみで話が終わるからだ。
そしてもちろん、自分で声を掛けて勧誘した女性であれば、肉体関係があっても何の問題もない。なぜなら、私の店に入店してなければ、ただの一般人と変わりないのだから。
【風俗嬢(仮)と体の関係~ランの場合~】
その日、繁華街から少し離れた大きなライブホールはバンギャで賑わっていた。
「バンギャ」とは、「ビジュアル系バンドが好きな女性」の総称である。
彼女たちは美男子の揃うビジュアル系バンドのファンであり、メイクの仕方やファッションなどにその影響が顕著に表れやすい。
一般人受けしにくそうな独特なものを好む人もいるが、全体を100人として一般人が少し引いてしまうようなタイプの人間が50人いれば、逆に一般受けするようなタイプも50人いる印象だ。
彼女たちの中には、全国各地、自分が好きなバンドがライブする度に現地まで赴く、いわゆる「おっかけ」が非常に多い。その熱意たるや、アイドルファンにも勝るとも劣らないものだ。
「すごい人の多さだな…」
ライブが終わって数十分、敷地内ではグッズの販売などもあり、人だかりができていた。
その光景を前に、ビジュアル系バンドの人気ぶりに舌を巻いた。
なぜこのバンドに特に興味もない私が、この場所にいるか。
それは新しいキャストの勧誘のためである。
全国各地を回るコアなファン活動は、非常にお金がかかる。
もともと金持ちだとか、金銭的に困らないくらいの資金があるという人間もいるが、そんなのは極少数だ。
ほとんどの女性は、生活費を削り、ギリギリでカツカツの生活をしている。
そう、彼女たちにはお金が必要なのだ。
稼ぎたい!と強く考える人ほど、風俗への抵抗が少なくなる。
私は女性のそうした性質を知っている。