【世界風俗探訪・マカオ編】 まるで公開オーディションなサウナ

マカオの風俗

makao_tp.jpgマカオの夜

 
 言葉もロクに通じない、風習も違う国をあてもなく旅をする…。その国で出会う異文化は刺激的であり、エンターテイメントでもある。そして、男として気になるのが『風俗』だ。異国の地で風俗店に飛び込むことはスリルがあるからこそ、虜になってしまうのだろう。

 マカオというと、カジノがたくさんあって、“東洋のラスベガス”というイメージがあった。なので、6年前の夜、大阪から直行便でマカオ国際空港に着いたときに、身体を包み込む湿気を必要以上に重く感じた。本家のラスベガスは砂漠の中の街であり、どちらかといえば乾燥しているイメージが強かったので、マカオのジメッとした空気が、いきなり重くのしかかったのである。ちなみに、マカオの平均湿度は75~90%と言われている。ひと言で表現するならば…不快だ。

 空港から目的のホテルまでタクシーを走らせる間、流れる景色を見ていると、カラフルなネオンの色が目に飛び込んでくる。それは、ラスベガスのようでもあるが、やはり、色の配置に東洋を感じさせるところがあり、赤と黄色の光がやけに目立つ。2日間という短い期間であるが、この光の中で過ごすことになる。

 さて、マカオは、正式には“中華人民共和国マカオ特別行政区”といい、中華人民共和国の一部だ。中国大陸南岸の珠江河口に位置する旧ポルトガル植民地で、ふたつの国の文化が混沌としている。現在はご存じのようにカジノを中心とした世界的観光地になっているが…。

 「で、“どっち”を先にしますかね?」と、同行した仕事の後輩がカフェでエッグタルトを頬張りながら聞いてきた。“どっち”のうちのひとつは、当然、カジノである。そのカジノが栄えると、どうなるか? 得た財で『買う』に走るのは、全世界で共通した男のサガなのだろう。カジノがある街には、何かしらの風俗があるものである。つまり、後輩が聞いてきた“どっち”のもうひとつは風俗になる。

 もちろん、最初から答えは決まっている。後者のみだ。というのも経験上の持論になるが、「ギャンブルでひと儲けしてからの風俗」という流れは、うまくいったためしがない。そもそもギャンブルで簡単に稼げるのであれば、誰だってギャンブルだけで生活できるわけじゃないか? ギャンブルも風俗も両方好きという人はいるだろう。だが、先にギャンブルをやって、風俗用資金を使い込んでしまった経験をした人も多いハズ…。

 それゆえに、最初から風俗と決めておけば、確実に“風俗だけは”楽しめる。もしも、風俗用の資金が余ったら、そのお金でカジノを楽しめばいいか…そんな考えで、このマカオにきたのだ。

 さて、そのマカオの風俗では『サウナ』が主流である。

 サウナというと、日本のそれは蒸し風呂で温まって冷水を浴びる…その繰り返し、という健康的なイメージがある。しかし、このマカオをはじめ、中国本土やタイの一部地域では、風俗的な意味合いが強い。

 もちろん、蒸し風呂や、それに伴う大浴場もある。さらに、マッサージもあれば、食事スペースや雑魚寝できる場所もある。ついでに、宴会場みたいな場所にはステージもあって…と書くと、「それって、日本の健康センターみたいじゃん!」と思われるかもしれない。そう考えていただいて差し支えはない。まさに、そんなイメージだからだ。しかし、ひとつ大きな違いがある。それは『ステージ』である。

 マカオのサウナにあるステージでは、その店舗によって異なるが、30分から1時間に1回の割合で“ショータイム”が開催される。その舞台に立つのは、水着やランジェリーなど、セクシーなスタイルの女性たち。彼女たちは客席にアピールするようにセクシーなポーズをとったりする。そして、その中にお気に入りの女の子を見つけたら、場内のスタッフにその希望を伝える。交渉が成立したら、個室に移って…という流れだ。

 ショータイムは、4列ほどに並んだ女の子たちが、20年前に流行ったようなポップスのリズムに合わせて、順番に最前列に出てきて各々のポーズを決めるというもの。どの女の子もスタイル抜群で、見ているだけでも楽しい。それはまるで、アイドルグループの公開オーディションのようであり、お互いにライバル視していることもわかる。隣の女の子が激しくアピールすれば、自分も…という感じでヒートアップしていくのだ。そんな光景を楽しみつつ、同時に隣の後輩の様子をうかがう。早い者勝ちだからだ。

 店によって異なるようだが、ひと通りの顔見せ(ショー)が終わってから、競りのように女の子を選べるサウナと、ショーの途中でも気に入った女の子がいれば指名できるサウナがあり、このときは後者だった。つまり、先手必勝である。そのため、少し迷いつつも、ピンクのビキニを着た35番の札を付けていた女の子を指名した。ちなみに、日本円にして全部込みの値段で約15,000円ほどである。

 蛇足ながら、マカオの通貨の話をすると、法定通貨として『マカオ・パタカ』があるが、基本的には香港ドルが主流である。そのため所持金は香港ドルが9割に対し、マカオ・パタカは1割で十分だろう。それほど法定通貨ながら使うシーンが少ない。それは現地で商売をする人も同じようだ。中には観光客相手には香港ドルの支払いに対して、マカオ・パタカで釣りを渡す悪徳業者(?)もいるので、要注意である。

 話を戻そう。スタッフに料金を支払い、35番の女の子に連れられて、別の階の個室に案内された。名前も名乗らずに「ソーリー、ノージャパニーズ」と、日本語はわからないと切り出した彼女。詳しくはわからないがフィリピンからやって来たという。浅黒い肌はきめ細かく、年齢はおそらく…まぁ聞いたところで野暮というものだろう。

 まずは、ベッドの上にうつ伏せで寝かされた。すでにサウナでシャワーを浴びていることになっているので、いきなりプレイなのである。そこで、形ばかりのマッサージを受けた後は、仰向けにされて彼女に身を任せることにした。

 意外にもキスをしながら乳首などをイジってきた彼女。海外の風俗でキスをしてくる女性は珍しいので驚いたが、乳首イジリや手コキもなかなかのものだ。特にスナップの効いた手コキといったら、それだけでイクと思ってしまうほどの気持ち良さだ。こちらの感じる表情を見てニッコリと微笑む彼女。言葉が通じなくても、このフィーリングは海外風俗の醍醐味のひとつでもある。

 その後、彼女が「カモン!」と下になって、遠くから聞こえるショータイムのミュージックをかき消すような声の中で果てた。テクニック的には、かなりのものがあり、「もしかして、キャリアは長い?」と思いつつ、「サンキュー」と微笑む表情にはあどけなさが残っている…。まぁ、いいか、気持ち良くなれたんだし…。そう、気持ち良すぎた。そこで、思ったことがある。

 
「もう1回、いっちゃうおうかな?」

 
 実は、マカオのサウナは個室でコトを終えた後に、その部屋で仮眠をとることもできる。つまり、最初からサウナ目的のマカオ入りであれば、ここでホテル代を浮かすこともできるのだ。もちろん、もう1度、ショータイムを見ることもできる。

 スタッフにその旨を伝えて、再びステージのある部屋へ。先ほどと同じように、色とりどりの女の子たちが踊ったり、ポーズをとってアピールしている。その中に、ソバージュのロングヘアーをなびかせる29番の女の子を見つけた。実は、35番の女の子とどちらにするか迷った子である。なので、さっそく指名することに。

 ん? スムーズにスタッフと女の子の交渉が進んでいないようだ。すると、スタッフがやってきて、「500香港ドルをプラスできるか?」と聞いてきた。当時の日本円にして7,000円近くだったように思う。つまり、「自分はレベルが高いから値段も高いわよ!」ということなのだろう。もちろん、かまわない。それだけのテクニックを堪能できるのだろうから。スタッフに合計金額を支払って29番の女の子と個室へ。

 先ほどの35番の女の子は個室へ向かう際、手をつないでくれたのだが、この29番はひとりでスタスタと歩いていく。それに、どことなくツンツンしているようだ。その理由は個室に入ると明らかになった。

 「ユー、さっき、他の子を指名したでしょ? 私は2番目なの?」的なことを英語でまくし立ててくる29番。どうやら、先ほど35番を指名したところを見ていたようで、2番手扱いが許せないらしい。彼女のプライドを傷つけてしまったようである。しかし、ここは“そういう場所”なのである。お互いがプロ意識を持っているハズだ。だが、こちらが「金は払った」と言っても、29番はツンとした表情で「ノー」とピシャリ。さらに、「ビコーズ、シー・イズ…」と、世界的に有名な性病の名称を連呼したのだ。

 29番の女の子は、病気持ちの女の後にはできないと言い張った。もちろん、それが屁理屈だというのはわかる。…まぁ、一瞬、ゾッとしたのは事実だけど。それでも、こちらは代金を払っているので食い下がった。すると、その女は「ノー!」とかなり大きな声で叫び始めた。

 当然の流れなのだろう。個室のドアをノックする音が響く。彼女が助けを求めるようにドアを開けると、そこには屈強なガタイのセキュリティが立っていた。彼も英語でまくしたててくるが、何を言っているのかわからず。そこで、こちらが日本人であることを告げると、堪能ではないとはいえ日本語を話せる現地人スタッフが部屋にやってきた。

 話を聞いて愕然とする。なんでも、29番いわく「この日本人が性病を持っているから拒んだら、無理やり犯されそうになった」と言うではないか! 日本語ができるスタッフに抗議すると、彼は申し訳なさそうな顔をして、「うちでは、(表向きに)そういうサービスを行っていないことになってますので…諦めてください」とのこと。これ以上、コトを大きくしても、金は戻ってこないだろうし、裏から誰が出てくるかわからないので退散したが…。

 その後、後輩が調べてわかったことであるが、このサウナでの女の子同士の嫉妬によるトラブルはけっこうあるそうだ。人気の女の子は、バックステージでリンチされることも少なくないという…。今回のケースも29番は以前から35番に対して良い印象を持っていなかったのだろう。それが、35番の後に指名されて、溜まっていたものが一気に…という形だろうか。

 いずれにしても、料金をドブに捨てたことになる…いや、ここはマカオだ。サウナという名のカジノで負けたと思えば安いものだ。「いいじゃないですか、最初はイイ思いができたんだから」と後輩に慰められたが…。1勝1敗、それがマカオ風俗の戦績であった。
(文=美田三太)

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