【短期集中コラム】

AV女優のプロ魂が見られるAV撮影現場ってどんな雰囲気?

AV業界への就職を考える人へ! これがAV会社の実態だ!! 第三回「AVメーカーの本当の仕事 ~後編~」

0610rape_fla.jpg※イメージ画像:Thinkstockより

 AVの撮影現場というと、どこか陰惨なイメージを抱いている人も少なくないであろう。特にハードな撮影(アナルやレイプモノなど)は、女優もイヤイヤ出演しているのではないかと勘ぐる人がいるのも事実だ。

 しかし、それは世間一般のAVに対する偏見である。社会的なニュースになるのが女優の自殺や逮捕などといった類いばかりだからだ。月に3000タイトルは発売されているなかで、過酷な撮影を行っているメーカーなど、ひと握りしか存在しない(映像が過酷であることに間違いはないが)。AVの撮影に対する偏見は、まさに木を見て森を見ず、なのだ。

AV撮影現場ってどんな雰囲気?

 では、実際にどのような雰囲気のなかで撮影が行われているのか。筆者は単体女優から企画、スカトロやSMまでノージャンルで撮影現場の取材に赴いた経験がある。なかには1千万円近くの予算をかけて、盛大に爆破した企画モノまで間近で見てきた。その経験から言わせてもらえば、撮影現場における女優は“真のプロ”である。

 あるレイプ作品の現場を例にあげてみよう。撮影はY県の某廃工場で真冬に敢行された。内容を端的にいうとドッキリレイプだ。女優は普通の露出モノ撮影だと聞かされていた。つまり、自分がこれからレイプされるとは微塵にも思っていない。いかにマネージャーの許可が下りているとはいえ、本人たちにとっては“ガチレイプ”である。女性権利団体が聞いたら、顔を真っ赤にして怒り狂うだろう。

 だが、女優はちがった。男たちに迫られて、はじめは罵声を浴びせながらリアルな抵抗を見せていたものの、次第に彼女たちはあることに気づいて態度が急変した。そう、カメラが回っていたのだ。

 そこからはアドリブである。抵抗しながらも男たちの極悪非道な仕打ちも受け入れていく彼女たちは、途中でドッキリだと察すると最終的にはレイプを受け入れなければならないと瞬時に判断したのである。そのとき気温は0度を指していた。暖房のない山中の廃工場で彼女たちは裸になり、時折涙を流しながら、男優たちに“犯され”たのだ。

 そのシーンの直後に監督が撮影を中断してすべてを説明。そのときに某女優が発した言葉がまたスゴかった。

「そうですよね? 途中で撮影だって気がついちゃって。私、いいリアクションできてました?」

 ちなみにその女優は男たちにビンタまでされている。さっきまで頬を赤くして、泣きじゃくりながら“犯され”ていたのだ。それにもかかわらず、カメラが止まったとたん、撮影前のほがらかな笑顔に変わっている。ビンタすらも「もっと強く叩いても大丈夫だったのに」と言いのけた。

 以上の例は極端ではあるが、どこの撮影現場でも変わらないことがある。それは撮影者(監督やメーカー)が、女優たちを崇拝している点だ。「この女優ならきっとデキる」「少しキツイけど、がんばってくれる」という信頼感を抱いている。その信頼感を築くために撮影前の面接があるのだ(第2回参照)。

 新米監督などは、その信頼感を見誤って、女優をブチギレさせたりする例もあるが、最近はほとんど見かけない。80年代の黎明期には女優のNG事項をどうやって口説き落とすかが監督のテーマだったが、近年のAV撮影においては、女優がダダをこねることは少なくなってきた。なぜなら可愛くて何でもやってみたいという女優が増えてきたからだ。ワガママが許される女優など、ほんの一部にすぎないし、撮影側だって彼女たちを本気で傷つけようなどとは思っていない。結局女優もスタッフも目的はひとつ。「ヌケるAV」を作りたい一心なのである。

 ちなみに前述したAV女優は、撮影後「すごく気持ちよかった」と満足そうに語ってくれた。その作品が売れたかどうかは別として、イイ出来映えになったのは言うまでもない。キレイごとを並べてAV業界を叩く人々は、こうした彼らの努力を何も知らない。AVは虐待でも何でもない。ひとつの作品である。

 もし、AVメーカーへの就職を考えるのであれば、それ相応の志がなければ大成は望めない。単にセックスが間近で見れるなどの短絡的な考えの新人がすぐに辞めていってしまうのは、AV業界における人間関係の深さを理解できないからだ。セックスという本来秘匿されるべき行為を作品にするのだから、情熱と礼儀が何より試されるのである。
次回へ続く
(文=中河原みゆき)

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