結婚してから気がついた…妻は悪名高き「鬼女」だった

1106hannyagirlfla.jpg※イメージ画像 photo by grundcreature5 from flickr

 日本最大の電子掲示板「2ちゃんねる」。文化・学問などのお堅いモノから芸能・ギャンブル・エロと、数多の話題で日々盛り上がりを見せる2ちゃんねるの中でも一目置かれているのが、既婚女性(=主婦)が利用する「既婚女性板」である。

 朝、夫を送り出して午前中は家事に精を出し、午後の買い物までのわずかな時間にホッと一息ついた奥様が、「そういえば化粧品がなくなりそうだったわ。掲示板で口コミでも見ようかしら」と既婚女性板を訪れ、化粧品談話に花が咲く素敵な奥様たち……なんてことは一切、これっぽっちも、微塵もないので勘違いしないように。

 実際にスレッドタイトルの一覧を覗いてみると、芸能人・テレビ叩きがスレッドの1/3を占め、そこでは口汚く罵る奥様たちの書き込みで溢れ、他の掲示板とは一線を画すほど殺伐としている。そして、既婚女性板に書き込みをする奥様たちは「鬼女(既婚女性板の略称:既女、の当て字)」として恐れられているのだ。

 一体なぜ彼女たち鬼女はここまで恐れられているのだろうか。それは彼女たちの異様な執念と異常なのリサーチ力が最大の理由だ。ひとたび既婚女性板で話題になり、彼女たちを怒らせたが最後、ブログやSNSなどを元に、実名から住所、職場や電話番号など個人情報をことごとく特定され、丸裸にされてしまう。

 札幌市内の衣料品チェーン店で店員に土下座させている写真をTwitterに投稿し、10月7日に逮捕された介護職の43歳女性の事件。この事件が逮捕まで至った理由のひとつに、「ネットで事が大きくなったから」だと分析する弁護士もいる。土下座強要で義憤に燃えた鬼女たちによる犯人探しが始まり、警察としても立件せざるを得なかったのだろうという。

 確かに鬼女のリサーチ能力はずば抜けて高かった。本名、職場の特定はもとより、愛車とナンバー、女性の実兄の情報までネット上に晒された。1度火のついた鬼女は犯人を追い込むまでやめず、余罪の追求も容赦しない。写真のわずかなヒントから移住地を特定することも可能な鬼女たちの暴走は止まらない。

 そんな鬼女を妻に持つ奇特な男性がいたので話を聞いてみた。コウスケさん(仮名・会社員)の奥様はもともとベビーな2ちゃんねるユーザーだった。だが、付き合っていた頃はおろか最近まで、2ちゃんねるに入り浸っている姿をコウスケさんには微塵も見せなかったという。

「僕は結構ヒマつぶしに2ちゃんねるのまとめサイトを見たりしてたんですよね。テレビのニュースやワイドショーでは放送されないディープな話題がまとめられたりしてて、そういうのが楽しくて見てたんです。でも2ちゃんねるって、世間の評判は悪いでしょ? だからそういうの見てるって妻にも言えないままでいたんです。

 でも、あるときつい口を滑らせて『2ちゃんで見たことあるなぁ』っ言っちゃったんです。そのときは2ちゃん見てるってバレて、妻が怒るんじゃないかと思ったんです。『そんなの見てるなんてガッカリ…』みたいな。でも妻から返って来た言葉は『ようやく私に追いついてきたのね』だったんです…。

 聞けば妻は、独身時代から2ちゃん内のいろんな掲示板をまんべんなく浅く広く見ていて、結婚が決まってから既婚女性板に常駐しているみたいです。僕が今まで2ちゃんの話題を出したことがなかったから言わなかっただけだって。それからですかねぇ…カミングアウトして気が楽になったのか、家での話もすっかり既婚女性板の話題ばかりです。妻が嫌いな芸能人がワイドショーなんかに出ると、朝でも夜でも悪口しか言わないし、同じような悪口を何カ月も繰り返すようになって…。店の従業員が悪ふざけしてTwitterが炎上したことが何回かあったときも、朝から寝るまで2ちゃんにかじりついて舌打ちしたりブツブツ文句言ったり…。そのせいで夕飯がカップ麺だったことが何日か続いたんですよ…。

 一番キツかったのは、うちは夫婦でパソコンを共有してるのですが、妻が使ったあと何気なく履歴を覗いてみたら、『ダンナの給料が安くてやってらんない。ATMとしてもポンコツ』って書き込んだのを見たときです。さすがに怒って妻を問いただしたら『ホントに私があなたのことをポンコツだって思ってると思う? ああいう風に言っておけば場が盛り上がるからに決まってるでしょ…』って逆にうんざりした感じで言われて…。この生活が続くようなら、離婚も考えちゃいますよねぇ」

 ヒステリック・嫉妬・粘着質を原動に繰り出される攻撃力と破壊力の高さもさることながら、反撃を受けた際でも厚かましさと開き直りを盾にカウンター狙い、女という弱者を演じる狡猾な防御力と、まさに攻守最強の鬼女たち。万が一鬼女に狙われたら、反撃しようなどと考えずに即白旗を揚げるのが得策だろう。そもそも、炎上させるようなことをしないのが大前提ではあることをお忘れなきよう。
(文=三坂稲史)

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