SMAPの木村拓哉(40)が10月スタートの新ドラマ『安堂ロイド~A.I. knows LOVE?~』(TBS系)に主演することが発表された。同ドラマは現在高視聴率を記録している『半沢直樹』と同じ毎週日曜夜9時からの「日曜劇場」枠で放送される。『半沢直樹』の好調を受け継いで大ヒットを狙いたいところだが、早くも業界や視聴者からは先行きが不安視され厳しい声が上がっている。
これまで総理大臣やパイロット、レーサー、美容師などを演じてきた木村が今回扮するのは、100年後の未来からやってきたアンドロイド・安堂ロイドと天才物理学者・沫嶋黎士(まつしま・れいじ)の二役。沫嶋が何者かに殺害され、柴咲コウが演じる安堂麻陽(あんどう・あさひ)も命を狙われる。そんな麻陽を守るため、未来から送り込まれた沫嶋そっくりのロイドが机の引き出しから現れるというSFラブストーリーだ。
木村と柴咲のタッグは、日曜劇場枠歴代2位となる平均30.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録した『GOOD LUCK!!』以来10年ぶり。この最強タッグに加えて、コンセプト・設定協力に人気アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』で知られる庵野秀明と鶴巻和哉が名前を連ね、脚本は『ケイゾク』『SPEC』を手掛けた西荻弓絵が担当、演出は『SP 警視庁警備部警護課第四係』(フジテレビ系)の波多野貴文や『ATARU』の木村ひさしらが務める。
TBSの意気込みのほどがうかがえる豪華布陣だが、ネット上の視聴者の反応は意外にも冷淡で以下のような意見が書き込まれている。
「また『もしキムタクが○○だったら』ってドラマか」
「『半沢直樹』のあとは何やってもキツイ」
「あらすじ聞いただけでドラマの展開が読める」
「キムタクは40歳でまた恋愛物やるの?」
大ヒット中の『半沢直樹』の演出を手掛ける福澤克雄氏は、同作のヒットの理由について「女性層を狙うために恋愛要素を入れる」というテレビ界のセオリーを打ち破り、自分が面白いと思えるものを作ったことだと分析している。
それとは逆に『安堂ロイド』は、恋愛に軸を置いたストーリーになると思われるため、せっかく戻ってきた視聴者が離れてしまうことも懸念される。
「TBSは視聴者の求めているものを理解しておらず、最近は力を入れた作品がことごとく失敗している。今クールもTBSが期待していたイチオシは『半沢直樹』でなく、ジャニーズ事務所の人気タレントを集めた『ぴんとこな』でした。ジャニーズの人気頼みという古い思考回路で上層部の頭は止まっており、脚本と演技の上手さで魅せるというドラマの基本を忘れている。『安堂ロイド』などは、まさに旧態的な思考から生まれた企画の最たるもの。ベタな恋愛モノに嫌気が差していた層が『半沢直樹』を支持していただけに、そのヒット効果の恩恵を受けられるとも思えない。嫌というほど宣伝を打つでしょうが、それに見合うほど成功するかどうか…」(テレビ誌記者)
『半沢直樹』の後番組が下手な作品であれば余計にアラが目立ってしまうだけに、視聴者の目は厳しくなりそうだ。人気低迷がささやかれているキムタクにとっても正念場になる今作。果たして、TBSは2クール連続でヒットを飛ばすことはできるのだろうか。
(文=佐藤勇馬/Yellow Tear Drops)