【日本の奇習】花嫁に“男根型アイテム”を使用させる(全国各地)

penisnise0731fla.jpg※イメージ画像 photo by Sputniko.com from flickr

 生命力や生産、力などを象徴するものとして、日本各地で信仰や祭祀の対象になっているペニスをかたどったモニュメント。神社のご神体や祭りの神輿などにこれが用いられるのは、そのよく知られた実例である。また、民家などの神棚や家内の随所にお守りのように、同様にペニスの置物を飾る風習も、各地でみられる。

 こうしたありがたいアイテムであるから、婚礼に際してペニスを模した品物が用いられることも珍しくない。たとえば、岡山県のほぼ中央に位置する久米郡久米南町の一部では、婚礼の際に大きな木製のペニスが届けられる風習が大正初期まで行われていたという。昭和39年刊『岡山県性信仰集成』によれば、地域で婚礼があると、保管してある木製ペニスを三宝に載せ、その脇にかつお節2個を囲むように並べたものを、羽織袴で正装した地区の代表2名が披露宴の行われる家に持参して祝いの言葉を述べて帰る。婚礼が滞りなく終わったら、後日、木製ペニスは返却され、地区の代表者が保管する。そして、また地域内で婚礼があれば、同じように届けられるのだという。

penisnise0731main01.jpg※画像:結婚式の祝物(「岡山県性信仰集成」より)

 いうまでもなく、木製ペニスを囲むように置かれたかつお節は女性器を暗示しており、三宝の上に表現されたのはセックス行為そのものにほかならない。

 また、東京都下ではやはり戦前頃まで「嫁の飯」という慣習があったらしい。披露宴の席では、大きな茶碗に山のように盛られたご飯が新婦に出される。明確な量は不明だが、おそらく、現在でいう「デカ盛り」とか「メガ盛り」というレベルではなかったかと推測される。

 問題はその際に使用される箸である。この場合、通常の箸ではなく大根をペニス状に削り、食紅で真っ赤に染めたものが用いられる。つまり、赤く太い男根の箸で飯を食べなければならないのである。

 これらの男根アイテムを使った慣習を「花嫁にペニスを慣れさせるため」という説明をつける人がいるが、そうした意見は納得しがたい。近代の日本においては、ほぼ全国各地で童貞や処女のまま結婚するケースは少なかったと推測できるからである。少なくとも、こうした風習が続けられていたような地域では、「夜這い」や「若者宿」といったコミュニケーションシステムが実行されていたと考えられる。やはり、男根アイテムは儀礼的な意味が濃かったと考えるのが妥当だ。

 しかし、そうした慣習も次第に失われ、大正期から昭和20年頃までにほとんど消滅してしまう。先祖伝来の道具も、破棄されたり、紛失してしまったりというケースが多いとのことだ。

 もし、どこかの旧家の土蔵などから、かつて使用されていた男根アイテムが発見されたとしたら、歴史的に大きな意味を持つだろうと筆者は強く考える次第である。
(文=橋本玉泉)

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