「ピザやスパゲティのトマトソースは食べるが、サラダなどに混じっている生のトマトは食べられない」「ツマミで出されるチーズ盛り合わせは食べるが、グラタンなど熱を通したチーズは食べられない」など、同じ食材でも、調理の仕方によって好き嫌いのある人がいる。筆者も、チャーハンや炊き込みご飯は食べられるが、リゾットやお粥は食べられない。同じ米でも、調理法次第で、自分にとっては全くの別物になってしまうのだ。
上記は食べ物の話だが、オーガズムで同じことを言う人がいる。「男性とのセックスではオーガズムを得られるが、自分1人で行なうオナニーではオーガズムが得られない」という女性が存在するのだ。
一般的には、むしろ逆だという女性のほうが圧倒的多数とされている。要するに、「自分1人で行なうオナニーではオーガズムを得られるが、男性とのセックスではオーガズムが得られない」タイプは非常に多い。自分のカラダのことは自分が一番よくわかっているという理屈なのだろう。また、セックス経験の浅い女性の場合は、男性の前だと恥じらいや緊張のため、快感に集中できないケースもある。
上記とは真逆に、セックスでしかイケない女性とは、いったいどのような事情を抱えているのだろうか?
「想像力が乏しいせいかも」と笑うのは、A子(派遣社員)。セックスでは非常にイキやすい体質で、前戯の段階から何度も絶頂に達するという。本人いわく、一度イクとイキやすくなるとのことで、ペニス挿入後も、それこそイキっぱなし状態なのだとか。羨ましい体質である。しかし、いざ1人でオナニーに臨んでも、いっこうにイク気配が感じられず、毎回2~3分で諦めてしまうのだとか。「もう少し時間をかければイケるのでは?」と提言すると、「エッチな気分が持続しない」と首を横に振る。
詳しく話を聞いてみると、どうやら「オカズ」がないようだ。視覚で興奮を得る男性と違って、女性は脳や感情で興奮を得る傾向が強い。よって、女性向けのオカズといえば、写真集やグラビアではなく、レディースコミックや官能小説などストーリー性を重視したアイテムが中心。しかしA子は、「子どもの頃から本を読むのが苦手だったし、漫画も大して好きではない」の一点張り。
では、妄想はどうだろう? レディースコミックや官能小説のような既存の作品ではなく、「脳内の妄想図書館はオカズの宝庫!」と断言する女性は多い。しかしA子は、「想像力が乏しく、ストーリーが思い浮かばない」というのだ。そのため、股間を弄っても、興奮が持続せずに飽きてしまうらしい。
しかしセックスとなると話は別。生身の男性がエッチな言葉を囁き、彼女の興奮を掻き立てる。彼女の苦手な「読書」や「想像」をせずとも、現実に起きている行為には大興奮するというのだ。
個人的には、「本に親しむ努力を!」と思うが、男性にとってA子のようなタイプは大歓迎なのだろう。イキやすい女性をご所望なら、読書嫌いの女性に声をかけてみるのもアリかもしれない。
B子(短大生)の事情はもっと単純だった。性感帯がクリトリスではなく、膣とのこと。本人の自己申告によると、クリトリスが小さく包皮も厚めとのこと。むろん、クリトリスが全く感じないわけではないようだが、オーガズムを得るほどではないという。
そのぶん敏感なのが膣! 手前よりも奥がいいとのことで、Gスポットよりもポルチオ派のようだ。ポルチオ性感がイマイチよくわからないという女性が多いなか、羨ましい体質である。
しかし、ロングサイズのバイブレーターを用いればオナニーでもポルチオを刺激することは可能なはず。そこで、アダルトグッズ併用でのオナニーを提案したのだが、「自分で膣に挿れるのは怖い」と尻込みする。ロングサイズのバイブレーターどころか、指すら恐怖感があるという。生理中も、タンポンではなくナプキン派。
男性に挿入されるのは、怖いどころか大好きとのこと。自分では届くことのない性感帯にペニスが擦れる悦びは極上なのだとか。
イキやすい女性をご所望なら、ナプキン派を…と言いたいところだが、生理用品の話題を出すのは無理がある。
「以前はオナニーでもイケたが、今はイケなくなった」と証言するのはC子(主婦)。羨ましいことに、夫が超テクニシャンで、セックスでの快感に心酔しすぎて、オナニーがつまらないものに思えてきたというのだ。
イキやすい女性をご所望なら、過去にテクニシャン男性とのセックス経験がある女性を探せばよいということか。いや、むしろ自身のテクニックを磨き、女性のバックグラウンドに関係なく、オーガズムに導ける男になりたいものだ。
(文=菊池 美佳子)