時代の流れと共に進化するのは、科学技術だけではない。男のオナニーも、飛躍的な進化を遂げているのだ。オナニーといえば、パンツを脱いでペニスを握り黙々とシゴくのがスタンダードなやり方だ。しかし近年、ユカニー(布団の上でうつ伏せになり手は使わず股間全体を擦りつけるように腰を振る床オナニー)・アナニー(アナルオナニー)・チクニー(乳首オナニー)など、様々なオナニー法が発見されネット上を賑わしている。
アナルや乳首でオーガズムに達する男性も存在する一方で、意外と聞かないのがタマニーだ。「たまにするオナニー」ではない、「金玉オナニー」のことである。
タマニーがブレイクしない理由は何となく察しがつく。男の股間において、二大シンボルといえば陰茎と陰嚢であるが、メインとなるのは誰がどう考えても陰茎のほう。陰嚢はサブ……いやサブ以下というイメージが強い。股間から離れた位置にあるアナルや乳首なら、新たな快感を求めてわざわざ手を伸ばす気にもなるが、陰茎のすぐ奥にある陰嚢にはイマイチ関心が向かないのだ。「陰嚢を触るくらいなら陰茎を触る」という思考に至るのはごく当然である。
男が、股間の二大シンボルのうち、一方(陰茎)でしか快感を得ていないのに対して、女性たちは股間の二大シンボル両方で快感を得ているからたいしたものだ。陰核と膣である。男性の陰嚢は、女性の大陰唇にあたる部位なので、陰核や膣と比べるのはお門違いかもしれないが、それを差し引いても、股間の二大シンボル両方を有効活用していないことは、非常にもったいないことである。
とはいえ、陰嚢をただやみくもに触っても快感は得られない。陰嚢は、急所である睾丸を包んでいる袋なのだから、へたに触ると痛みを生じるケースもある。デリケートな部位なので、細心の注意を要するのがタマニーなのだ。
しかし、デリケートな部位だからこそ、一度コツを掴めば、じゅうぶんな快感を得ることは可能だと、愛好家は語る。まずは、下準備として陰毛を剃ること。陰毛がある状態とない状態では、感度が全く異なるという。最近は、男のパイチンも流行っているのだから、これを機に剃毛してはどうだろうか? もちろん、何らかの事情で剃毛が不可能な者もいるだろう。スポーツジムの常連で風呂に入る時気まずいとか、妻や恋人に怪しまれるとか、その場合は正面部分の陰毛は残し、陰嚢周辺だけ処理すると良いだろう。
次に、いきなり陰嚢単独で快感を得ようとしないこと。これは、アナニーやチクニーにも同じことが言える。初回からアナルのみ・乳首のみ触って射精に達するなど超人の域。慣れるまでは陰茎刺激(通常のオナニー)から着手し、ある程度勃起してから陰嚢に移行することをオススメする。
そして、ローションを併用すること。費用がかかる・買いに行くのが恥ずかしいという人は、リンスで代用してもOK。間違えないで頂きたいのは、シャンプーでもボディソープでもなくリンスということ。シャンプーやボディソープは泡立ちが良すぎるので不向きのようだ。リンスを使うとなると、後始末を考え風呂場で済ませようという人もいるだろう。その際、シャワーを用いるのもアリだ。水圧の強い状態で裏側中心に直撃させる。ただし、それなりに時間を要するため、水道代がかかってしまうのが難点。エコなオナニー法とはいえないだろう。
シャワーよりも、王道のタマニー法は、揺らすことにあると、タマニー愛好家は証言する。立位でも良し、四つん這いでも良し、腰を振ることで陰嚢がブラブラと揺れ、やがてごく微量の快感が走るという。もちろん、延々と腰を振り続けるのは体力的に無理があるので、手を使ったサポートも重要。小手先のテクニックは不要で、全体を包み込むように握るだけでも、袋内部の睾丸が動き、自然と気持ち良くなるという。
タマニー最大のメリットは、陰茎オナニーと違って、快感が持続することにある。人によっては1時間以上続けてタマニーに耽っていられるくらいの心地良さが続くため、クセになるというのだ。また、精液の量も増すため、射精後の爽快感が違うとの証言も出ている。
繰り返しになるが、男の股間においての主役は陰茎である。陰嚢で、陰茎同等の強い快感は得られるものではない。しかし、全く新しい快感が得られるなら試してみる価値はありそうだ。かかるコストも、せいぜいローション代くらい。陰茎の背後で、サブ的役割に甘んじている陰嚢に手を伸ばしてみるのも一興である。
(文=菊池 美佳子)