風俗店の多様化により、最近では手コキ専門店なるジャンルも登場した。店にもよってサービス内容に多少の違いはあるが、基本的に女性側は脱がず、オッパイや陰部にも触らせない。男性客に対してフェラチオすることもなく、ましてや素股だの本番だのありえない。ただ黙々と手コキで射精に導くだけの、実にシンプルな接客内容だ。価格帯がリーズナブルなので、「手っ取り早くヌキたい」という需要にマッチしているのだろう。
ところで「手コキ」は、漢字で「手扱き」と書くことをご存知だろうか? 「扱く」とは、擦るようにしごくという意味。手コキ風俗店を利用せずとも、ほとんどの成人男性が数日に一回は行なっている動作だ。
手コキに対して、足コキとなると、自分一人のオナニーでは不可能なのが残念なところ。足コキとは、ペニスを第三者の足の裏で挟み扱くプレイである。主にマゾ気質の男性が好む傾向にあり、手コキよりも気持ち良いと主張する愛好家も少なくない。オトコのシンボルであるペニスを足で刺激される精神的な凌辱感がたまらないのだろう。また、手の平よりも刺激が弱いので、時間をかけて楽しみたい時にはぴったりのプレイである。
足コキよりもマニアックなのが髪コキ。ペニスに髪の毛をまとわりつかせながら手で扱く行為のこと。何が気持ちいいのか、未経験者にはまったくもって理解不能だが、女性の柔らかい髪の毛で包まれる感覚は、普通の手コキとはひと味違った快感が得られるという。また、女性が身体の一部を使って奉仕していることで服従欲が満たされたり、手間ひまかけて手入れしているであろう髪の毛をカウパー氏腺液や精液で汚すことでも快感が得られるようだ。
そう、女性とは膨大な手間及びけっこうな金額を髪の毛に費やしている。美容院以外にも、シャンプー・リンス・トリートメントなど、肌の手入れ同等に髪の毛にも情熱を傾ける生き物なのだ。当然だろう、昔から「髪は女の命」と言われている。髪の毛=女性らしさを表す象徴といったところか。
その女性の象徴である髪の毛を切り落とす……つまり断髪に性的興奮を得る嗜好が存在するという。アダルトビデオにも、断髪というマニア向けジャンルがあるくらいだ。断髪AVは、作品にもよるが、女性はいっさい脱がず、男性との絡みどころかオナニーシーンすらない。洋服を着た状態でカメラの前に座り、黙々と髪の毛を切られていく。そして最終的にはバリカンで坊主にされる。視聴者にとっては、女性の命である髪の毛を剃られ、女性的魅力を失ったという点が萌えポイントなのだろう。それに伴い、ジョキジョキというハサミの音やバリカンの作動音も興奮材料になるようだ。
この断髪プレイ、AV作品として観るならまだしも、現実に体験するにはかなり難しいだろう。いや、不可能といってもいいくらいだ。女性にとって髪の毛は、女性であることの証し。それを丸坊主にさせてくれと言っても、首を縦に振る女性は見つからないのではないだろうか。一度坊主にしてしまうと、伸びるまでには数カ月~数年単位かかる。それを、たった一回のプレイで切り落とすのは、女性にとってあまりにもハイリスクなのだ。
案の定、断髪ビデオを好む男性に話を聞いたところ、カノジョはおろか、恋人以外の女性に相応の対価を提示しても、応じてくれる女性には出会えないという。髪コキOKの女性はいるが、髪コキと断髪で得る興奮は別物とのことで、今後もAVに頼らざるを得ないだろう。
一般女性からも断髪に対する声を募ってみたのだが、「丸坊主にされるくらいなら、ウンコ(している姿を)見られるほうがまだマシ!」という人がほとんどだった。断髪よりもスカトロを選ぶとは、やはり「髪は女の命」なのだ。ということは、スカトロプレイ希望者は「断髪プレイかスカトロプレイどちらか選んで」と、二者択一で迫れば、その願望が満たされるという結論に至る。
性行為において、スカトロこそがもっともハードルの高いプレイというイメージだったが、それを超えるプレイが存在したとは! 現実に体験することは無理でも、どのような世界観なのか、ものは試しで断髪AVを視聴してみては如何だろうか。
(文=菊池 美佳子)