ついこの間のこと、ニューヨークで売春業者が摘発され、経営者や従業員らが逮捕された。事件を報じた『ニューヨーク・ポスト』によれば、ニューヨーク市警が数カ月にわたる捜査を経て、市内4カ所で展開していた売春業者の42歳の代表と28歳の女性従業員らを逮捕したという。
さて、この事件で気になったのは、この業者の客寄せの手口である。業者は複数のホームページを開設して客を集めていたが、そのなかで日本人女性が在籍しているかのように宣伝していたというのだ。
ところが警察の捜査では、同業者が経営する各店舗には、どこにも日本人女性が勤務していた形跡はまったく確認できなかったというのである。
では、実際にはどうしていたのか。新聞記事などによれば、「日本人女性をそろえました」などとアピールしていたものの、いざ来店してみると、「本日は日本人の女の子はいないので、こちらの女性はいかが」などと言って韓国人女性を勧めたり、「日本人の女性はマッサージのみ。『本番』がしたかったら別途追加料金」などと強要したという。
新聞の記事だけを見ると、何とも日本のボッタクリ風俗店を連想させる事例ではある。それにしても、ニューヨーカーに日本人の性的サービスは人気なのだろうか。
「いやあ、そりゃあすごい人気だよ」
そう話すのは、60代の元経営実務書編集長。企業トップや幹部、中堅管理職クラスとの交流も多く、企業のちょっとした情報やゴシップにも詳しい。
元編集長氏によれば、アメリカ人ビジネスマンなどの間では、日本の風俗店は相当な人気なのだそうだ。
ところが、通常では日本のソープランドでは外国人は原則としてお断わりである。ただし、懇意にしている常連さんや、長年のお得意さんの紹介ということであれば、この限りではない。なじみのお客さんの連れということであれば、店としてもむげに断ることはそう簡単ではない。
そのため、企業などが接待で外国人を吉原のソープに連れてくることもしばしばあるらしい。
「たとえば、建設大手のM社の社長なんて、外国からお客さんをソープで接待するなんて得意だった。90年代のバブル崩壊まで、かなり盛んにやっていたよ」(前出・元編集長)
そして、吉原ソープでのサービスは、ニューヨーカーのビジネスマンたちには「すこぶる好評」だったというから、今回のニューヨークでの摘発での「日本人女性在籍を客引きにした」というのは、そうした評判を背景にしたものかもしれない。
ちなみに、海外で日本人女性が風俗嬢として活躍しているという話は、ちょっと聞いたことがない。その一方、日本の都心やその周辺などでは、アジア系や南米系など、インターナショナルな女性たちが風俗店で就業している。ただし、日本もこのところの不況で、どの国籍や地域の女性たちも、稼ぐのはなかなかたいへんのようである。
(文=橋本玉泉)