オナニーシーンが胸熱
濡れ場の中でもセックスシーンとはまた違った味わいを見せてくれるのが、女優たちのオナニーシーン。6月には映画『夢売るふたり』(9月公開)の中で松たか子が見せた自慰シーンが話題になった。松のような清純派がリアルな女の快感を演じたことで衝撃を与えたが、その歴史を紐解いていくとさまざまな顔ぶれが並ぶ。
清純派の登竜門といわれるNHKの朝ドラマ『カーネーション』のヒロインを務めた尾野真千子もその一人。尾野はブレイク前の映画『真幸くあらば』全裸オナニーを披露している。敬虔なクリスチャンである尾野と死刑囚の男性が同時刻に自慰にふけることで精神的なつながりを求めるという、いわばオナニーでありながら共同作業のような行為である。
尾野と同じく、映画でオナニーを披露してからNHKの朝ドラマ出演という流れに乗ったのが満島ひかり。園子温監督の『愛のむきだし』で頭を揺らしてアエぎながらも「今の、なに?」と我に返る、「初オナニー」を披露。この作品で一気に知名度を上げた満島は、その後、『おひさま』(NHK)でヒロインの同級生役に抜擢された。
また、そのボディを活かして迫力満点のオナニーを見せつけてくれたのは映画『ベロニカは死ぬことにした』の真木よう子だろう。サナトリウムで出会った青年を前にGカップ級のバストをあらわにし、汗まみれで果てる姿は今も語り継がれており「オナニーベストシーン」の呼び声が高い。
「単なるセックスの濡れ場とは違って、他者を必要としない自己完結の行為だからエロいし、衝撃的に映るんでしょう。ただ、そのほとんどは男性監督による演出なので、『男の目から見た女性のオナニー』になっていることは否めません。その点、松の控えめなオナニーシーンが『リアルでいい』と高評価を受けているのは、女流の西川美和が監督を務めているからでしょう。今後も西川のように女性監督がオナニーシーンを撮ることで、新境地を開拓してほしいですね」(芸能ライター)
変わったところでは、江戸川乱歩の原作を映画化した『人間椅子』で、人間の入った椅子を相手に下着姿の小沢真珠が身もだえるというオナニーというか擬似セックスというか……という行為を披露。江角マキコは映画『ピストルオペラ』の中で「アタシの男」と呼ぶ拳銃を生挿入するという荒業に挑んでいる。さすがにテレビドラマでは難しいかと思いきや、昼ドラマ『真珠夫人』(フジテレビ系)で、横山めぐみが着物姿で情交を想像しながら熱い吐息をもらす姿を披露してくれている。
「オナニーシーンは一人で体と心の高まりを表現しなくてはいけないため演技力も要求されるし、それなりの色気も必要になる。女性からの支持を得られそうな演者としては、木村多江や菅野美穂あたりの自慰シーンが見てみたいですね。また、演じるには相応の覚悟も必要になるでしょう。個人的には、ヌードも辞さないと表明している前田敦子がオナニーシーンに挑めば話題になることは間違いないと思います」(同)
ちなみに、元AV女優で現在はライターとして活動する峰なゆかは、オナニーマエストロ・遠藤遊佐との対談で「電車の中とか、飲み会でつまらない話を聞いてるときに“ノーハンドオナニー”をするときがある」と語っている。股間にギュッギュッと力を入れることで絶頂に達することができるようで、暇つぶしなどに使っているそうだ。
かくも奥深い、女性とオナニーの関係。今後は誰がどんなシチュエーションでオナニーを披露してくれるのか注目したいところである。スクリーンの中で女優によるノーハンドオナニーが披露されるときがくれば、オナニー新時代と呼んでもいいのかもしれない。
(文=津本ひろとし)