世の中には、一目で分かりやすいものもあればそうでないものもある。ファストフード店やリーズナブルな居酒屋の会計は分かりやすいが、敷居の高い高級なクラブやバーだったりすると、チャージ料だのサービス料だの、何にどれくらいかかっているのか不明瞭なケースも少なくない。
オトコとオンナはどうだろうか? 一般的には、男性のほうが単純明快で、女性のほうが分かりにくい生き物とされている。それは、色恋における表面的な駆け引きにとどまらず、オーガズムにも同じことが言える。
女性のオーガズムは、女性当人ですら分かりにくいと自覚しているのだから、男性が分かりにくいのは当然である。そう、女性の中には「イク」という感覚を明確に自覚できていない人も存在するのだ。「多分イッているとは思うのだが、自分が感じているものがオーガズムなのか確証が持てない」という女性もいれば、「自分はイッたことがないと思い込んでいたが、よくよく考えてみたら幼少期の頃からオーガズムを得ていたようだ」という女性もいる。
よって、男性から見て女性のオーガズムが分かりにくいのはやむを得ないこと。巷では、「カラダがヒクヒクする」「足の指が動く」「膣の奥が空洞のようになる」など言われているが、どれも曖昧でイマイチ信憑性に欠ける。女性自身の「イク」という言葉は、さらに信用できない。「全ての女は女優である」という言葉があるように、女性とは嘘をつくのが上手な生き物なのだ。
対して、男のオーガズムはなんと分かりやすいことだろう。射精が伴うのだから一目瞭然である。よって、一部の女性たちが抱えているような、「イクという感覚がよくわからない」という悩みを抱えることはない。だが、場合によっては、その「わかりやすいオーガズム」が凶と出ることもある。セックスで、射精に至らなかった時だ。
セックスにおいて、酒の飲みすぎその他の理由で射精に至らなかった際、なんとも気まずい雰囲気になってしまうことがある。「もう、これ以上腰を振り続けてもイクことは無いだろう」ということを悟り、ピストン運動をストップさせる際、オトコたちは何を思うのか?
一般男性を対象に意見を募ったところ、やはりダントツで多かったのが「相手女性に対して申し訳ない」という声だった。確かに、女性側の面目を潰してしまったような空気感になってしまう。
次いで、「もったいないことをした!」という悔恨派。確かに、いかに男女平等が叫ばれる現代日本とはいえ、ラブホ代は男性負担であることがほとんど。宿泊なら1万円前後、休憩でも数千円かけてイケなかったというのは悔いが残るだろう。いや、ラブホ代ならまだいい。風俗店の場合は、悔しさもいっそう強い。また、ラブホやフーゾクのように金銭が絡まずとも、イケないということ自体にもったいなさを感じる男性もいるようだ。動物園に来てライオンを見ないような、フランス料理でメインディッシュを食べないような気分になるのだろう。
次に、「もう、これ以上腰を振り続けてもイクことはないだろう」ということを悟り、ピストン運動をストップさせる際、どのような行動をとるべきなのか? セックスは、相手があってこそ成り立つ行為なので、女性側に対して紳士的な振舞いをとることも忘れてはならない。
酒が入っている際は、酒のせいにするという男性が圧倒的多数だった。仮に1~2杯でも、「酒がまわったようだ」ということにするのがベスト。酒を飲んでいない場合は、「寝不足」「疲れているのかも」など、兎にも角にも「女性のせいではない」ということをほのめかすのがスマートだろう。よって、言うまでもないが、女性の膣の締まりを指摘するのは絶対にNG。また、「緊張しているのかも」という言い分に対しては、「嘘くさい」「高校生じゃあるまいし、引く」など反対意見が目立った。本当に緊張していたとしても、「酒がまわった」「寝不足」「疲れている」が無難だろう。
その後の行動だが、「手や口で満足させてほしい」という女性もいれば、「抱き締めてくれたり腕枕してくれればそれで満足」という女性もいた。ということは、手と口でそれなりにガッツを見せ、その後抱き締めて腕枕が確実か? と思いきや、「自分だけ手マンやクンニでイクのは気が引ける」という女性もいるので難しい。オトコとしても、限界までピストン運動を頑張ったため、手マンやクンニをするスタミナが残っていないこともある。この点は、相手女性のスタンスを見抜くスキルが必要になってくる。
確実に言えるのは、言葉でのフォローも行動でのフォローも、長すぎるのはよくないということ。ダラダラ言い訳せず、体力回復のためにも手マンやクンニもそれなりの時間で切り上げてさっさと床に就き、翌朝のモーニングセックスに備えたほうがお互いにとってベストなはずである。
(文=菊池 美佳子)