少子化により、平成世代にはひとりっこが増えてきているが、我々昭和世代は、2~3人兄弟という人も少なくないだろう。しかし、大人になってから兄弟と会う機会はほとんどなくなる。子どもの頃はしょっちゅう遊んでいたのに、大人になると、仮に近くに住んでいるとしても、また仲が悪いわけでなくても、自然と疎遠になるものである。
むしろ、しょっちゅう顔を合わせるのが「穴兄弟」ではないだろうか? 穴兄弟の「穴」とは膣のこと。要するに、同じ女性とセックスしたことがある人物を指す言葉である。セックスに開放的なヤリマン女性の増殖に伴い、例えば「職場の女性社員A子と肉体関係にあるのは自分だけかと思っていたのに、同僚の男性社員とも関係していた」というケースは決して珍しくないはずだ。
穴兄弟の存在を知るルートは、大きく分けて2つある。1つは、女性から聞かされるパターン。そして、男性から聞かされるパターンである。
まずは前者のほう。女性から、「○○クンともセックスしている」と宣告された場合について。
オトコ側とて、「相手女性にとって、自分が初めてのオトコであってほしい」などという願望は決して抱いていない。婚前交渉が一般化している現代日本では、むしろ処女女性に出くわすことのほうが珍しい。よって、相手女性に何人かの男性経験があるのはごく当たり前のこととしてセックスに臨むのが一般的なスタイルだ。しかし、その「何人かの男性経験」に自分の知人が含まれている場合は複雑だ。
女性側に、宣告のタイミングについて話を聞いてみた。案の定、セックス前に宣告するケースは少ないようだ。女性側とて、さすがに計算しているらしい。事前告知することによって、男性側が萎える危険性を回避しているのだろう。
よって、事後宣告が主流ということになるが、男性側の心境は「いちいち言わずとも、心の内にしまっておいてほしかった」といったところか。これに対して女性陣からは、「後々、何かのタイミングでバレるよりは、先に言っておくほうがいいと思った」「(言わないのは)隠しごとをしているようで気が引ける」という、いかにも正論な言い分が返ってきた。元々、女性とはおしゃべりな生き物なので、言わずにはいられないのだろう。
肝心なのは告知を受けた後だ。どのような態度をとればスマートなのだろうか? 女性陣に意見を求めたところ、「アイツと比べて俺はどうだった?」と優劣を競おうとするのはNGとのこと。しかしオトコにとって、競い合うのは本能のようなもの。動物界では、群れの中で自分以外のオスと、メスを取り合って勝ったオスが繁殖活動を行なうことができる。人間の男性とて同じなのだ。とは言え、ここはあえて「ふーん、そうなんだ」と、気にもとめていないフリを装うほうが無難なようだ。
次に、男性から聞かされるパターンについて考えてみよう。オトコ同士の会話の中で、「A子と肉体関係を持った」「俺も」と偶然に一致することがある。経験者に話を聞いてみたところ、そこから「A子のフェラは最高だよな!」「アナルもOKだったよな!」などと、プレイ内容にまで話が及ぶことは滅多にないとのこと。オトコの下ネタはファンタジーというが、生々しく語ってしまってはそのファンタジーが崩れてしまうからだろう。
一方で、オンナの下ネタはドキュメンタリー。竿姉妹を持つ女性たちは皆、サイズや前戯嗜好、挿入時間に至るまで、こと細かに語らうものらしい。前述の、オトコの本能が競い合うことなら、オンナの本能は喋ること。原始時代、男性は狩猟を、女性は木の実採集の役割を担っていた。木の実採集はおしゃべりをしながらでも可能、そのDNAが現代女性にも脈々と受け継がれているのだろう。また、「あっちの枝に美味しそうな木の実があるわよ」と協力し合うように、現代女性たちも協力し合うのが大好きだ。「Bクンは、遅漏嫌いの私には合わなかったけど、アナタは遅漏好きだから気に入ると思うわよ」と、斡旋することもあるという。
斡旋型は、男性の場合はほとんどないようだ。「経理部のC子、簡単にヤラせてくれたぜ。お前も声かけてみたらどうだ?」という話は滅多に聞かない。とはいえ、万が一そういった話が舞い込んできた際は、スマートな対応を心がけたいものだ。「今夜にでも誘ってみるよ!」などと鼻息を荒くせず、表面上は無関心を装い、人知れず裏で動いてこそ、真のセックス紳士である。
(文=菊池 美佳子)