イクイク病で1日100回も絶頂…あなたの恋人がそうなったらどうする?

orga0907.jpg※イメージ画像 photo by cybergibbons from flickr

 AVを見ていて、短時間で何回もイってしまう女優に「演技じゃないの?」と思ったことがある人は少なくないだろう。しかし実際には、世の中には1日で100回以上もオーガズムを感じる女性がいるという。これはAVの話でも笑い話でもなく、持続性性喚起症候群(persistent sexual arousal syndrome、以下PSAS)と呼ばれる病気のことで、日本では2000年頃から存在を知られるようになり、通称“イクイク病”とも呼ばれている。その症状は、不感症とはまるで対照的で、性的興奮がまったくない状況にも関わらず、性的な快感が持続するというものだ。

 近年、少しずつPSASの症例が報告されつつある。この症状が出ると、電車やヘアドライアーの振動、コピー機の音、人によっては携帯やフードプロセッサーの振動でもオーガズムに達してしまうのだとか。イったことがない女性からは「うらやましい」という声もあるらしいが、寝ているとき以外はほぼすべての時間帯にわたってオーガズムの津波に翻弄されてしまうというから、日常生活もままならない。

 ブラジルの女性患者の例を紹介しよう。彼女が病気のことを知ったのは約4年前とのこと。急に性欲が上昇し、47回もオナニーをしたという。病院でPSASという診断が下され、処方された抗不安薬を服用するとオナニーの回数は1日18回に減少した。しかし、職場でまともに働くことができなくなった彼女は、病気を公開し、訴訟を起こした。裁判所は昨年、「オーガズムを追求する理由が病気にあるという点が認められる」とし、「職場のコンピューターでアダルトコンテンツを見て、1日最高18回オナニーをしてもよい」という判決を下したという。

 日本での症例はどうかといえば、公式に報道されたケースはほとんどない。患者がまったくいないのではなく、おそらく、恥ずかしくて誰にも話すことができず、公にしていないのだろう。ただ、あるフーゾク系の掲示板にはいくつか書き込みも見られる。

 その彼女は自転車に乗って、近くのコンビニまで買い物に出たとき、体がビクビクッとはずんで、なんともいえない快感が襲ったのが発端だったとか。翌朝、満員電車に揺られて会社に向かうときも、電車の振動にいちいち体が反応して何度もイッてしまい、会社にたどり着く頃にはヘロヘロ。同僚に肩を叩かれたり、ポケットに入れておいた携帯が鳴ってもイッてしまい、病院に行ったところ病気が発覚した。

 普段からポジティブシンキングだった彼女は「ま、気持ち良いから別にいいか」と無理矢理自分を納得させたものの、日常生活にはかなりの“振動”が潜んでおり、外を歩くのがすぐに恐怖に変わった。「とても普通の仕事はしてられない」と思った彼女は、その感じやすさを活かしてソープで一稼ぎ狙ったものの、考えが甘かった。一日だけ働いて速攻やめたという。客がつくたび何十回もイッてたら体がもたないからだ。

 PSASになったきっかけは、交通事故の後遺症によるものや抗うつ剤の影響などさまざまで、直接的な原因や病気のメカニズム、治療法は今のところ確立していない。

 アメリカのある患者の発言によれば、ずっとイキまくっていると快感がだんだん痛みに変わってくるのだとか。こうした実態を知れば「イキまくれるなんてうらやましい」と誤解する女性も減るだろう。もし自分や恋人が「イクイク病」にかかってしまったら……と考えると、むやみに絶頂を迎えることよりも、互いに慈しみ合う愛情深いセックスの大切さに気づくはずだ。

 セックスはイケるからいい、イケないからダメ、ではなく、1回のオーガズムの質こそが大切。くれぐれもAVの見よう見まねで、強制的に何回もイかせようとするのだけはNGだ。
(文=上条泡介)

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