セックス経験の少ない女性に、「彼氏のペニスが曲がっているんだけど……」と深刻な面持ちで相談を受けたことがある。この一文を読んで、おそらくほとんどの男性は「恋人のペニス具合を他者に喋るとは許せん!」と憤慨するだろうが、今回の論点はそこではなく、ペニスの曲がり具合について考えてみたいと思う。
冒頭の彼女は、セックスの経験人数が片手で数えられるほどだったので、ペニスを見慣れていないために思い悩んでしまったのだろう。だが、セックス経験豊富なヤリマン女性や男性陣はいっさい驚かないはずである。
人間の顔がシンメトリーでないのと一緒で、ペニスも身体の軸に対して真っ直ぐであるとは限らない。風俗店勤務の女性たちは、「左曲がりの男性のほうが圧倒的に多い」と答える。察するに、オナニーの際に右利きの人は右側からペニスを握ることになるため、おのずと左に傾くような角度になったのだろう。もちろん、ペニスの曲がり具合はオナニーだけが要因ではない。平常時、ズボンのどちら側に収納するかにもよって、曲がりグセがつくこともあるはずだ。
ペニスの曲がり具合がどうしても気になるという人は、整形手術を受けることも可能である。「見た目がカッコ悪い」という理由以外にも、セックスの挿入時に不具合が生じるという事情で手術を検討する男性も存在するとのこと。しかし、包茎手術や増大手術に比べるとまだまだ受ける人は少ないようだ。つまり、「曲がっていることが気にならないわけではないが、手術を受けるほどのことではない」という程度の認識なのだろう。
ここからは、ペニスの曲がり具合に関する都市伝説について。有名なのが、「ペニスは、右曲がりのほうが出世する」という見解。もちろん、なんの科学的根拠もない。しかし一説によると、会社経営者には(ペニスが)右曲がりの人が多いという。と聞くと、曲がり具合を調整しようかという気分になる人も少なくないだろう。特にこの不景気のご時世、藁をもすがる思いで様々なゲン担ぎを試している人にとっては、試さずにはいられないはずだ。だが、信憑性の定かでない俗説のために、整形手術を受けるまでは踏み切れない人がほとんどだろう。とりあえず、オナニーを利き手と逆の手で行なったり、ズボンに収納する際に右入れにするなど、地道に矯正していくのが無難である。それすらも面倒くさいという考えでは、出世は見込めないはずだ。SMクラブ勤務の女性いわく、「黄金を食べると金回りが良くなる」というゲン担ぎで、食糞プレイを希望する会社経営者が来ることもあるという。黄金とは、排泄物(大)のこと。「黄金を食べると金回りが良くなる」という説には、これまたなんの科学的根拠もないが、出世して会社経営するような人は、並々ならぬ心構えがあるということなのかもしれない。
ほか、ペニスにまつわる都市伝説といったら、なんといっても「ホクロ」が挙げられる。ホクロは、ペニスでなくとも人相学でも引き合いに出されることが多い。ということは、顔以外の部位のホムロにも、なんらかの意味があるということも大いに考えられる。詳しい研究家によると、亀頭のホクロは発展化の証しで、そのうえ飽きっぽいとのこと。亀頭にホクロがある人はご注意頂きたい。女性という生き物は、なぜか占いが好きな生き物なので、亀頭のホクロを発見したとたん、「私のこともポイ捨てするのね」と、愛想を尽かす危険性もある。
次に、サオの中腹にホクロがある男性は絶倫なのだそう。一般女性や風俗店勤務の女性に、この説の信憑性について尋ねたところ、「確かにスタミナ旺盛な男性が多い気がする」とのこと。逆に、この位置にホクロがあるにもかかわらず三こすり半程度で終わってしまうと、女性から「見かけ倒しなヤツ」とがっかりされてしまいそうだ。
そして、ペニスの根元のホクロは、金回りが良いしるしという。これに関して女性陣からは、「ペニスの根元までは、陰毛で隠れているのでノーマークだった」という回答が多かったので、男性陣に聞いてみたが、「残念ながら金回りはイマイチ」とのこと。とはいえ、実際に通帳を確認したわけではないので、もしかしたら謙遜しているのかもしれない。
ペニスの曲がり具合に関する都市伝説も、ペニスのホクロに関する都市伝説も、繰り返すがなんの科学的根拠もない。占いと同様に、当たるも八卦当たらぬも八卦といったところか。しかし、飲み会や合コンでの下ネタとしてはそれなりに盛り上がる話題なので、頭の片隅にでもとどめていただければ幸いである。
(文=菊池 美佳子)