DHCにスカルプD…歩く広告塔になる芸人たち

splash_yama0330.jpg※イメージ画像:『splash!!Vol.3』/双葉社

 南海キャンディーズの山里亮太が、沖縄国際映画祭のイベントに登場。ダイエットに成功した肉体を披露し、話題を集めている。大手美容健康メーカーのDHCとコラボしてダイエットに励んだ山里は、約5カ月でマイナス17.3kgの減量に成功。気になる体重は92.8kgから75.5kgになり、ウエストは110cmから87cmとマイナス23cm、体脂肪率に至っては25.9%から15.8%へとマイナス10.1ポイントというから見事な変貌ぶりを見せた。

 仕事としてダイエットを行い、健康体を手に入れ、その上イメージアップにも繋がるという、まさに一石三鳥以上の価値がある芸人のダイエット企画。コラボする企業側とすれば、彼らが見事に変貌すれば、大きな広告効果が得られるに違いない。たとえ失敗したとしても、公表しなければいいだけのこと。成功報酬という形で広告契約を交わしていれば、企業側が損をすることはないだろう。今回の山里がどういった形で、契約を交わしていたかはわからないが、昨年11月から行っていたというダイエットをこれまで大々的に公表しなかったのは、そういった事情があったからなのかもしれない。

 とはいえ、成功すればタレント側にも企業側にも大きなメリットがあるのは事実。実際、DHCの広告塔としては、友近やハイキングウォーキングといった面々がいる。彼らは、DHCの商品を使ったダイエットに励み、それなりの成果を上げる。そして、その体験者として芸人が起用されるというのは当然なのかもしれない。なぜなら、俳優や男性アイドルといったメディアで活躍するほかの男性は、そもそも自分で肉体管理をしているからだ。不摂生を繰り返し、やたらと太っているタレントといえば芸人だけだろう。

 まさにダイエット企画は芸人にとって、うってつけのものといえる。しかし、ただ彼らが不摂生をしているからといって企業も彼らを広告塔にしたわけではないだろう。やはり、芸能人と呼ばれる人々の中でも、より一般に近い感覚を持って、それゆえ一般に強い影響力を持っているという芸人の特徴が企業の広告塔として魅力的なのだ。そしてそんな芸人の魅力を存分に利用したのが、スカルプDという育毛剤だった。

 『芸人報道』(日本テレビ系)で一躍有名になったスカルプD。雨上がり決死隊やフットボールアワーといった人気芸人とのコラボ企画によって効果を証明した商品は、育毛といえばスカルプDというほど地位を確立。実際に商品を体験して宣伝する芸人という新しい広告形態を世の中に提示した代表例といえるだろう。

 そして、そんな芸人体験型の広告は既存のバラエティ番組の形を変えつつある。たとえば、今春から水曜10時に昇格した『ピカルの定理』(フジテレビ系)は、番組の合間に流れるCMをコカ・コーラとタイアップ。コント形式で商品の宣伝を繰り返しているし、『お試しかっ!』(テレビ朝日系)では同様のことをソフトバンクが行っている。現在のところ、一社提供によるバラエティ番組は少ないが、現在行われているコカ・コーラやソフトバンクによる広告効果がはっきりすれば、テレビ番組とCMの形が一変する可能性がある。番組のCMが出演者によるコントというのも悪くない。

 気をつけなければならないのは、広告を意識するあまり面白さを欠いてしまうということだ。それはまさに本末転倒というべき事態。あくまでも、流行の言葉で言うならば”ステマ”的にこっそり宣伝するのが得策だろう。バラエティの面白さを失わずこっそり宣伝することができれば、番組と企業双方に大きな利益をもたらすはずだ。とはいえ、提供スポンサーの力が絶大なのはテレビ業界の常。そのうち、「コカコーラ」や「ペプシ」といったコンビ名の芸人が堂々と出てくるのかもしれない。
(文=峯尾/http://mineoneo.exblog.jp/
著書『松本人志は夏目漱石である!』(宝島社新書)

『潜在異色 vol.1 全3巻収納BOX&オリジナルTシャツ付』

 
“モテない”山ちゃんこそ、芸人としてオイシイはず…

amazon_associate_logo.jpg

men's Pick Up