東日本大震災から一年。震災直後は芸能人による支援活動が連日のように報じられた。実際に被災地へ足を運んだタレントも多かったが、時間が経つにつれて芸能人の被災地訪問は減っている状況だ。
しかし、今も陰ながら支援活動を続けながら被災地を訪れている意外なタレントがおり、「週刊新潮」3月15日号(新潮社)が震災特集で彼らにスポットを当てている。
被災地支援に熱心なタレントの一番手として挙げられているのが、お笑いコンビのサンドウィッチマン。伊達みきお(37)と富澤たけし(37)は共に仙台市出身であり、気仙沼市でのロケ中に被災した。数十回にわたって被災地を訪問している二人は、昨年5月に独自の義援金「東北魂」などで集めた約3億円を被災した東北6県に届けた。今年3月にも、岩手、宮城、福島の各県庁を回り、各県1700万円の追加義援金を手渡している。3月11日に再び気仙沼市を訪れて黙祷を捧げるという二人は、「風化させない動きを取っていきたい」「震災はまだ終わっていない。1年たっただけ」とイベントで語り、支援活動のさらなる続行を訴えている。
あまり表に出ずに粛々と支援を続ける芸能人としては、ミュージシャンのGACKTの名前が挙がっている。震災直後、彼は水や食料品、紙おむつなどの支援物資を13tトラック3台で自ら宮城県多賀城市などに届けた。
昨年10月には再び多賀城市を訪れたが、事前連絡なしの訪問だった。同市の菊地健次郎市長は「あとで市民からも娘からも『なぜGACKTが来ると教えてくれなかった』と叱られました」「長期にわたって支援を続けることは簡単なことではない。有難いと同時に、立派だと思います」と突然の訪問を振り返っている。
GACKTは被災者支援のための社団法人「SHOW YOUR HEART基金」の発起人となり、仙台市の高校の卒業式でサプライズライブを敢行したり、南三陸町とコラボした商品を販売して義援金に充てるなど、幅広く息の長い支援を続けている。
また、小中高を福島県いわき市で過ごした女優の秋吉久美子(57)は、母校の高校の入学式や卒業式に出席したり、いわき市のサッカーチームにTシャツを届けるなど、原発事故で暗くなった地元を元気づける活動を展開している。他にも、埼玉県に避難した被災者152人との食事会を草加市の焼肉店で開いた元大相撲力士のKONISHIKI(48)、被災地での支援ライブに駆け回っている歌手の加藤登紀子(68)、茨城県の大津漁港で名物のアンコウ鍋を食べて風評被害の払しょくに努めた歌舞伎俳優・坂東玉三郎(61)の活動も紹介されている。
震災から一年という節目を迎えて、再びテレビで震災特集が組まれたり芸能人の支援活動が活発化しているが、テレビで取り上げられずとも注目されずとも、支援を続けていくことが何よりも被災者のためになる。派手さに目を奪われずに、粛々と支援活動を続ける彼らを見習って、われわれ一般人も震災の悲劇を忘れずに息の長い支援活動を続けていきたい。
(文=佐藤勇馬/Yellow Tear Drops)
彼らも復興支援ライブで再結成