5日発売の「週刊大衆」(双葉社)が「島田紳助VS石橋貴明 『第2幕ブチギレ報道戦』衝撃現場」という記事を掲載している。記事によれば、10月27日に放送された『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)の中で石橋が紳助の引退会見を模したギャグを披露し、それを知った紳助が激怒、「オレのとこへ来て、謝まらんかい、コラ!」と石橋本人に電話口で怒鳴り散らしたという。これに対し石橋は「てめえが来いよ!!」と応戦。大物2人の喧嘩騒動が激化しているというのだ。
「あるイベント関係者が別の芸人サイド」から聞いた話として展開される当該記事は、お笑い界の一部でもちきりの話題だという。しかし、もちろんと言ったほうが適切かもしれないが、「週刊大衆」自身も「石橋のブチギレ発言が事実ならば」と布石を打っているところを見ると、実際のところ本当に2人の間にそんなやり取りがあったかどうかは不明だ。
先月発売された「週刊アサヒ芸能」(徳間書店)にも報じられていた「紳助VS石橋」という記事。また、かくいう記者も紳助引退後の9月に当メンズサイゾーで「紳助VSとんねるず石橋 西のドンと東の暴君の違い!?」という記事を書いている。だがこの記事は、一部の業界関係者が紳助引退後、彼と似ているようで似ていない石橋に大きな期待を寄せているというものであり、2人が直接、電話口とはいえやり合っているというようなものではない。
記者のわずかばかりのツテをたどってテレビ番組を制作する関係者に話を聞いてみたところ、どうもこの大物2人が直接言い争っている形跡は見当たらない。「昔から仲が悪いというウワサはあったが、あくまでそれもウワサでしかない」というのが、多くの関係筋の意見だった。
「ありえない話ではないでしょうけど、引退後あらゆる週刊誌に追いかけられて、逮捕報道まで流された島田紳助が、わざわざネタになるような電話をするとは思えないですよね。彼も一応もともとは芸人だったわけで、そういった石橋のギャグが理解できないということはないでしょうし」(業界関係者)
確かに、紳助と石橋のタイプや立ち位置には共通するところも多い。しかし、この話題が紳助の現役中ならまだしも、畑違いにもほどがあるような今の現状で言い争いが起こるとは考えにくい。それとも、まだ紳助は芸能界復帰を画策していて、その影響力を誇示するため、石橋に白羽の矢が立ったというのだろうか。
そもそも石橋とは、独自の嗅覚で時事性のネタをパロディするのが得意な芸人だ。その彼が、紳助の引退会見を受けて、「これはギャグになる」と確信したからこそ、それを模したに過ぎない。思い出してみれば、石橋の演じるMCタカー(MCハマー)や宜保タカ子(宜保愛子)のパロディというのは、そのデフォルメの仕方に相当の毒気がある。MCハマーや宜保愛子の崇拝者であれば、激怒するようなパロディといえるだろう。
だが、石橋はそんな批判を考えずに多くのパロディを行う。それは、石橋が「素早く直感的に面白い」と思ったと同時に「批判数より多くの視聴者に受ける」と考えたからだろう。つまり石橋にとっては、紳助の引退会見などギャグでしかないわけだ。そして彼は、より多くの視聴者がそう受け止めるであろうことを直感した。これまで数々のパロディで人気を博してきた石橋。彼が紳助の引退をギャグにするということは、視聴者にとってもそれがギャグ程度のことでしかないことを物語っている。
(文=峯尾/http://mineoneo.exblog.jp/)
著書『松本人志は夏目漱石である!』(宝島社新書)
『とんねるずのみなさんのおかげでした 博士と助手 細かすぎて伝わらないモノマネ選手権 Season2 Vol.1 「デオデオデオデオ」(仮)』