東日本大震災、そして福島第一原発事故が引き起こした世情不安は、震災から2カ月がたった今も、東日本の人々の心に深く刻まれ続けている。
特に福島第一原発のやまぬ不安は、とかく「無気力」と揶揄されがちな多くの若者たちの目をも覚まさせた。4月10日にはサブカルチャーの街・高円寺で「原発やめろデモ」が挙行され、1万5,000人もの人々が詰めかけてデモ行進が行われた。かつての反原発の旗手・故忌野清志郎さんの命日である5月2日に日本武道館で行われた追悼ライブ「忌野清志郎ロックン・ロール・ショー日本武道館 Love&Peace」に、自らの持ち歌を替え歌にした反原発ソング「ずっと嘘だった」で注目を浴びる斉藤和義が出演し、とりわけ大きな喝采を浴びた。これまで政治に無関心だった層による「原発いらない」という叫びは、日本を席巻し続けている。
GW中の5月7日には、一連の反原発ムーブメントの総決算とも言える大規模デモ「原発やめろ渋谷・超巨大サウンドデモ」が渋谷・原宿を中心に、またも1万5,000人もの人々を結集させた。
この歴史的デモに、ある超注目人物も参加した。自身のブログ「ここっぴーの★へそっぴー」の3月23日の日記「批難覚悟で・・・・」が爆発的な話題を呼び、一躍ネットメディアの寵児となった14歳のジュニアアイドル・藤波心である。以来彼女のくだんのブログは1万件を超えるコメントを今も集め、彼女は一部の層から「平成のジャンヌ・ダルク」と呼ばれるほどの注目を集めている。現在も彼女の元に取材、そして執筆のオファーが次々と舞い込み、今や藤波心は、「日本最年少の文化人タレント」と言えるかもしれない。
5月7日の「原発やめろ渋谷・超巨大サウンドデモ」の冒頭、代々木公園で行われた決起集会に登場した藤波は、公園に設置されたステージに登り、
「最近だんだん原発事故のニュースがテレビで取り上げられなくなってきて、原発問題はまだ全然終わってないのに、心配です。今の日本は、本当に大切なものは何かを考える時期なのだと思います」
と、社会派ロッカーのMC顔負けのシリアスなメッセージを堂々と発し、アカペラで童謡「ふるさと」を熱唱。その毅然さ、気高さは、まさに「平成のジャンヌ・ダルク」の名に恥じぬものであった。
若すぎる文化人として、活躍の場を広げる藤波心。行く先にはきっと少なからぬ障害が待ち受けているに違いないが、正面切って自説を堂々と表明する勇気を持ち続け、これからも社会派アイドルとして活躍することを期待したい。
社会に立ち向かう乙女